ワーキングペーパー  国際交流  2026.09.17

ワーキング・ペーパー(26-015E)金融危機循環

本稿はワーキングペーパーです。

経済理論

本論文は、信用(クレジット)が主導する資産価格のブームと、その後の崩壊、そして長期化する不況という「金融危機循環」の理論的モデルを構築したものである。

1. 金融危機サイクルのメカニズム

景気拡大期における民間債務の累積は、バブル崩壊後の時期において「債務オーバーハング(過剰債務による活動抑制効果)」を引き起こす。これにより、借り手企業は生産性を向上させるための努力を行う動機(インセンティブ)を失ってしまう。

この債務負担が深刻なレベルに達すると、今度は債権者(銀行など)の間で「調整の失敗」が発生する。各債権者が互いの出方をうかがい、損失を先送りしようとすることで、経済の再生に不可欠な「債務リストラクチャリング」が遅延する。結果として、経済全体の生産性が低下した状態が持続していく。

2. 政策介入の是非とインプリケーション

こうした危機に対して政府が取るべき政策として、本論文は以下の2つのアプローチを比較・検証している。

  • 効率的なアプローチ:条件付きの銀行支援
    「企業の債務再編を実行すること」を条件とした銀行への資本注入や補助金支給は、借り手企業に無条件で補助金を配る政策よりも債務再編を促す上で効果的である。この政策は、より低い財政コストで効果的な経済回復を達成できる。
  • 逆効果となるアプローチ:広範な企業支援や財政出動
    一方で、借り手企業への直接的な補助金支給や、より債務再編を条件にしない一般的な拡張型財政政策は、政策当局の意図に反して経済停滞を長期化させるリスクがある。政府による小出しの財政出動は、銀行側が「自ら損を被って債務再編を進める動機」を削いでしまうため、結果として債務処理を遅らせ、デット・オーバーハングの効果を長引かせて、経済停滞を長期化させるのである。

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ワーキング・ペーパー(26-015E)金融危機循環