本論文は、信用(クレジット)が主導する資産価格のブームと、その後の崩壊、そして長期化する不況という「金融危機循環」の理論的モデルを構築したものである。
景気拡大期における民間債務の累積は、バブル崩壊後の時期において「債務オーバーハング(過剰債務による活動抑制効果)」を引き起こす。これにより、借り手企業は生産性を向上させるための努力を行う動機(インセンティブ)を失ってしまう。
この債務負担が深刻なレベルに達すると、今度は債権者(銀行など)の間で「調整の失敗」が発生する。各債権者が互いの出方をうかがい、損失を先送りしようとすることで、経済の再生に不可欠な「債務リストラクチャリング」が遅延する。結果として、経済全体の生産性が低下した状態が持続していく。
こうした危機に対して政府が取るべき政策として、本論文は以下の2つのアプローチを比較・検証している。