本稿は公開情報に基づいて、その整理と視覚化を行ったものであり、分析は暫定的なものである。今後随時更新をする。
ホルムズ危機では、世界の石油需給が著しく逼迫することが懸念されたが、現時点では、懸念された世界規模の供給途絶は回避されてきた。これを支えたのは、第一にホルムズ海峡を迂回するパイプライン輸送、第二に中国を含む主要国の備蓄・在庫を背景とした輸入調整と世界規模での取崩し、第三にペルシャ湾内から海峡外までを往復するピストン輸送とフジャイラ沖等での積替えである。日本でも、備蓄放出と米国等からの原油輸入増加に加えて、石油製品の輸出削減および在庫の取崩しにより、石油製品の供給途絶を回避してきた。
ただし、これまでの対応がそのまま継続できるとは限らない。世界および日本の備蓄・在庫には限りがある。今後、中東の物流網や生産・搬出設備が大きく損なわれるならば、原油や石油製品の不足が数か月程度の期間にも顕在化しうる。本稿は、これまでの石油供給を支えた要因と、その持続可能性を検討する。
キーワード:ホルムズ海峡、バブ・エル・マンデブ海峡、石油備蓄、商業在庫、中国原油輸入、米国産原油、石油製品、石油化学、需要崩壊