ワーキングペーパー  エネルギー・環境  2026.09.10

ワーキング・ペーパー(26-022J)石炭火力の焚増しによる発電コスト削減の試算

OCCTOユニット実績・30分需給実績・輸入CIF価格による全国分析

エネルギー政策

日本の石炭火力発電を焚き増し、LNG火力発電を代替することで、どの程度の発電コストの削減が可能になるか試算した。

対象となる86基の石炭火力発電設備において、年間設備利用率の上限を90%として、石炭火力が最大出力で運転しておらず、かつ同じ時間帯にLNG火力が運転している場合に限って石炭火力を焚増しをすると、LNG火力の発電電力量を年間76.31TWh抑制できる。これによる燃料費削減額は、燃料価格の低い平時において約2,207億円/年、燃料価格の高い有事において約4,533億円/年となった。

計算においては、2025年8月1日から2026年7月31日までのOCCTOユニット別発電実績と、一般送配電事業者10エリアの30分需給実績を用いた。年間設備利用率の上限を90%として単純に計算すると、石炭火力の焚増し可能量は97.43TWhとなる。しかし、30分ごとの実績を用いて、LNG火力の出力を減らす余地がある時間帯に限定すると、LNG火力を代替できる焚増し量は76.31TWhとなった。

費用については燃料費だけを対象とした。財務省貿易統計の2016年8月から2026年7月までの120か月を用い、平時は月別のLNGと石炭の燃料費差の中央値に最も近い2018年6月、有事は分析時点で利用できる最新月の2026年7月とした。LNGと石炭の燃料費差はそれぞれ2.89円/kWh、5.94円/kWhであった。

燃料費削減額を全国の年間電力需要900TWhで除すと、1kWh当たりの削減額は平時0.25円、有事0.50円となる。月400kWhを使用する標準的な家庭に換算すれば、それぞれ約98円/月、約201円/月となる。

なお本稿の図表の計算を行った表計算ファイルを補足資料として添付する。

図1 分析結果の概要

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出所:OCCTO、一般送配電事業者、財務省貿易統計から筆者作成。

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