政府は、2030年代初頭からCCS(Carbon Capture and Storage、二酸化炭素回収・貯留)を事業化し、2050年には年間1.2億~2.4億t-CO₂の貯留能力を確保する方針である。
経済産業省・カーボンマネジメント小委員会における2026年7月の中間とりまとめは、CO2の分離回収・輸送・貯留の認定費用を基準価格、GX-ETSの排出枠価格を参照価格とし、その差額を実貯留量に応じて15年間支払う制度を示した。支援終了後には10年間の事業継続義務が課される。認定費用には、建設、資金調達、および運転にかかる費用が含まれる。
建設段階では、総支援額を縮小できる場合に、認定建設費の75%を上限として支援額の一部を先行交付するとしている。他方で、支援は25年間の全期間にわたるものではない。現行案では16~25年目のコスト差支援はなく、事業者は市場収入、ETS価値、料金収入等で事業を継続しなければならない。なお25年間にまたがる廃棄・廃坑・操業後モニタリング等の費目は25分の15のみが支援対象となる。
以上のように、この制度は、おおむね、支援期間である15年間において、GX-ETSがもたらすCCSへの支援と併せて用いることにより、事業者はCCSのための追加的な費用の回収を図る仕組みとなっている。
CCSの追加費用について、政府の発電コスト検証ワーキンググループの2040年モデル試算を用いて計算すると、LNG火力は6.1円/kWh、約1.99万円/t-CO₂、石炭火力は14.9円/kWh、約2.03万円/t-CO₂となる。そこで2万円/t-CO₂という単価を用いて計算すると、CCSの追加費用の総額は年間2,000万tであれば0.4兆円/年であり、これを15年継続すると6兆円となる。2050年目標の1.2億~2.4億tでは2.4~4.8兆円/年となり、これを15年継続すると36~72兆円となる。もちろん、モデル試算よりもCCSの追加費用が上振れすればこの総額も増加する。
なおCCSはエネルギー損失が大きい。同じ量の燃料投入に対する送電量の低下は前述資料の政府モデルで石炭火力の場合12.3%、LNG火力の場合11.4%となっているが、これはかなり楽観的な想定である。文献調査に基づくと石炭火力で29.3%、LNG火力で22.9%となっている。つまり調達した燃料の2割から3割をCCSのために消費してしまうことを意味する。これは省エネルギーではなく増エネルギーであり、日本のエネルギー安全保障には逆行する。
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