レポート  エネルギー・環境  2026.07.13

気候変動における太陽の役割

地球温暖化
本稿はHenrik Svensmark, FORCE MAJEURE The Sun’s Role in Climate Change
https://www.thegwpf.org/content/uploads/2019/03/SvensmarkSolar2019-1.pdf
をGWPFの許可を得て邦訳したものである。


著者について

ヘンリク・スベンスマルク(1958年生まれ)は物理学者で、デンマークのリュンビューにある国立宇宙研究所(DTU Space)天体物理学・大気物理学部門の主任研究員である。1987年にデンマーク工科大学で博士号を取得し、その後、カリフォルニア大学バークレー校、北欧理論物理学研究所、ニールス・ボーア研究所で物理学の博士研究員を務めた。現在はDTU Spaceの太陽・気候研究グループを率いている。

謝辞

本稿に有益なコメントを寄せてくれたラース・オックスフェルト・モーテンセン(Lars Oxfeldt Mortensen)、ニール・シャビブ(Nir Shaviv)、ヤコブ・スベンスマルク(Jacob Svensmark)、および2名の査読者に感謝する。

要旨

過去20年間で、気候に対する太陽の影響についての理解は大きく進んだ。特に、多くの科学的研究により、太陽活動の変化が完新世(およそ過去1万年間)全体にわたって気候に影響を及ぼしてきたことが示されている。よく知られた例は、西暦1000年ごろの中世温暖期に太陽活動が活発であり、その後の小氷期(西暦1300~1850年)と呼ばれる寒冷期には太陽活動が低水準であったことである。重要な科学的課題は、気候に対する太陽の影響を定量化することである。11年の太陽周期を通じて地球システムに流入するエネルギーは1.0~1.5 W/m²程度と判明している。これは太陽放射照度だけから予想される値よりほぼ1桁大きく、太陽活動が何らかの大気過程によって増幅されていることを示唆する。

太陽と気候の関連を説明するため、主に次の3つの理論が提案されている。

  •  太陽紫外線の変化
  •  雲量に対する大気電場の効果
  •  太陽によって変調された銀河宇宙線(星間空間に起源をもち、地球大気に到達する高エネルギー粒子)がもたらす雲の変化

考えられるメカニズムの解明に多大な努力が払われてきた。現時点では、宇宙線による地球の雲量の変調は、太陽の影響の大きさを説明するうえでかなり有望に見える。この理論は、太陽活動が完新世の気候に大きな影響を及ぼしてきたことを示唆する。この理解は、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の公式見解とは対照的である。IPCCは、1750~2011年の太陽放射強制力の変化を約0.05 W/m²と推定しており、約2.3 W/m²と見積もられる温室効果ガスの影響に比べれば、まったく無視できる値としている。しかし、大気中に太陽増幅メカニズムが存在するならば、二酸化炭素に対する推定気候感度にも含意があり、その値が現在考えられているよりはるかに低いことを示唆する。

要するに、気候に対する太陽活動の影響は、公式コンセンサスが示唆するよりはるかに大きい。したがって、これは科学界が取り組むべき重要な科学的問題である。

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気候変動における太陽の役割