コラム  国際交流  2026.07.10

トランプ大統領の支持率低下と予測不能な米中関係の行方 ~米欧関係悪化の一方で目立つ高市政権の対米協調重視姿勢~|日米中関係/ヒアリング

<2026年5月25日~6月14日 米国欧州出張報告>

米州

<主なポイント>

  • 5月の米中首脳会談は、実質的な成果は乏しかったが、米中関係が緊張を高める方向を回避し、相互に融和的な姿勢を確認できたのは良かったという評価が一般的。中国側は、「建設的戦略安定関係」という枠組みをトランプ大統領が受け入れ、米中が対等の立場で、対話と相互尊重による安定的関係維持の方向を確認できたと評価。
  • ワシントンD.C.の中国専門家はトランプ大統領の対中外交姿勢は弱腰との見方が支配的。従来の主流派はこの見方に反対するが、ワシントンD.C.では少数意見。
  • トランプ政権の目標は今秋の習近平主席の公式訪米を成功させ、中間選挙で巻き返しを図ることである。選挙後の対中姿勢については予測不能との見方が大勢。
  • トランプ大統領の支持率は一貫して低下傾向。その主因は、物価高の持続、イラン攻撃によるガソリン価格高騰、非人道的な移民対策など。この支持率低下傾向が11月まで継続すると、中間選挙での下院の与党共和党の敗北は確実と見られており、上院でも過半数を確保できない可能性が指摘されている。
  • 中間選挙後は対中強硬姿勢の議会の圧力が強まる見通しであるため、トランプ政権の対中政策は強硬姿勢に傾く可能性が高いとの見方が一般的。
  • 高市政権の外交政策はG7諸国の中で唯一対米協調を重視する姿勢が目立つ。この間、日本政府関係者の対米協調一辺倒に傾く姿勢に対する懸念が指摘されている。
  • トランプ政権の対日外交方針は、①日本の自力防衛力強化による米国の負担軽減、②日本政府が中国政府を挑発しないこと。
  • 米国国務省高官は、高市政権が台湾に関する従来の日本政府の方針を変更し、中国が台湾の武力統一に動けば、日本が前面に立って台湾を防衛する可能性があると受け止めている。この変化が中国の対日強硬姿勢の原因となっていると理解している由。
  • 欧州と米国の間の信頼関係が低下し、大西洋同盟には深刻な溝ができている。マクロン大統領が主唱する戦略的自立という基本方針に共鳴する欧州諸国が増えた。
  • EUの対中貿易赤字の急拡大を背景に、EUの域内産業保護のための規制強化傾向が強まっていることを踏まえて、中国企業の欧州域内現地生産が増加しつつある。しかし、中国がウクライナを侵攻するロシアを支援しているため、欧中関係が悪化しており、欧州諸国が中国企業を歓迎しない傾向が強まっている。

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