森林を伐採してメガソーラーを建設する場合に、温暖化対策としての効果がどの程度損なわれるかを概算する。太陽光発電は発電時にCO2を直接排出しないが、設備の製造にはCO2排出が伴う。さらに森林では、立木・根系・枯死有機物・鉱質土壌に炭素が蓄積されており、開発によってその一部が大気中に放出される。また、森林が毎年CO2を吸収する働きや、森林土壌がメタンを吸収する働きも失われる。
CO2については、林野庁および日本学術会議の森林多面的機能資料におけるCO2吸収機能の考え方を踏まえ、36~40年生スギ人工林1ha当たりの炭素蓄積量304t-CO2/haおよび年間吸収量8.8t-CO2/ha/年を用いた。土壌・枯死有機物については、環境省の温室効果ガスインベントリ関係資料における森林から開発地への転用係数を用いた。太陽光発電側は、設備利用率17.2%、過積載率130%、土地利用密度0.67MW/haを主計算とした。
森林炭素ストック(立木・土壌・枯死有機物)が全量CO2となって放出されると想定した場合、認可容量1MW当たりの森林炭素ストック放出量は約784t-CO2、太陽光発電設備製造時排出を合算した建設に伴うCO2放出量は約3,629t-CO2となる。政府計画における2030年度の電力排出係数を用いると、森林の年間CO2吸収フローの喪失を差し引いたCO2回収年数は約10.0年である。これは設備利用率が12%と低い場合の感度分析では約14.5年に延びる。以上のことから、森林伐採を伴うメガソーラー建設においては、太陽光発電設備製造時だけではなく、森林伐採によるCO2放出も無視できる水準とは言えず、これを明示的に計算に含めた上で個々の事業についてどの程度のCO2削減になるのか検討する必要がある。
キーワード:メガソーラー、森林、ライフサイクルCO2、炭素ストック、土壌炭素、環境影響評価