「シリコン太陽電池と風力発電以外に、何かよい再生可能エネルギーはないのか」という問いがよく聞かれる。従来型の太陽光と風力を2040年に向けて大量導入すると、発電設備単体のコストとは別に、出力抑制や蓄電池設置などによるいわゆる系統統合コストが膨らむ。また、立地をめぐっても問題が生じているほか、中国へのサプライチェーンの依存といった問題も指摘されている。これに代わる再エネはあるのだろうか。
既存水力を除くと、安価・大規模・安定・国産・低CO2・環境負荷の小ささという条件を同時に満たす再エネはほとんどない。
水力は日本の電力の約1割を担う本物の再エネであるが、良い地点は相当程度使われており、追加分は小規模・高コストになる。地熱は資源量だけ見れば魅力的だが、国立公園や温泉地に沿内し、地域の合意を得て開発するには時間がかかる。
バイオマスは、国内林業が健全に回り、残材を地域で熱利用・熱電併給するような場合には一定の意味がある。しかし、日本のバイオマス発電の拡大は、輸入される木質ペレットやパームヤシ殻(PKS)への依存を強めてきた。これはエネルギー安全保障上も、ライフサイクルCO2上も疑問が残る。自動車用バイオエタノールも輸入依存であることに変わりはない。
ペロブスカイト太陽電池については、研究開発をすることには意味があるが、政府は2040年に20GW程度という大きな導入目標を掲げ、量産工場や需要創出までを支援し始めている。系統統合コストを含め、重要な課題が解決する見込みがないままに巨費を投じても、国民の負担が増えるだけに終わるという危惧が生じる。