太陽光発電、電気自動車(EV)、ZEH・GX志向型住宅は、いずれも脱炭素政策の中核的な支援対象である。これらは、環境にやさしい、エネルギー費を削減する、将来世代のためになる、と説明される。しかし分配面から見ると、これらの政策には共通した問題がある。すなわち、公的支援の便益を受けるには、住宅所有、屋根、初期投資、新車購入能力、充電環境、住宅ローン信用力といった参加条件を満たす必要がある一方で、制度に参加できない世帯は、補助金、売電収入、燃料費節約、住宅性能向上といった直接的な私的便益を受けられないことである。
本稿では、太陽光発電、EV補助金、ZEH・GX住宅支援について、公表統計を用いて、直接受益者がどのような層に偏るかを整理する。太陽光発電システムの使用率は、集合住宅では0.0%である一方、戸建住宅では11.7%である。戸建住宅に限定しても、年間世帯収入250万円未満では4.3%であるのに対し、2000万円以上では25.8%に達する。EVについては、補助金受給者の所得階層別分布は十分に公表されていないが、BEV購入意向は高額な次期車両を想定する層ほど高い。ZEH・GX住宅支援については、新築住宅取得者が直接受益者であるが、年間の持家・分譲住宅着工は主世帯が居住する住宅ストック全体の約0.74%にすぎない。
これらの事実は、グリーン政策が単なる環境政策ではなく、制度参加の条件を満たせる層に公的支援と私的便益を集中させる、高所得者を優遇する政策として機能していることを示している。
キーワード:脱炭素政策、太陽光発電、EV、ZEH、GX住宅、補助金、逆進性、再分配