ワーキングペーパー  エネルギー・環境  2026.06.11

【研究ノート】第七次エネルギー基本計画に基づく2040年発電コストの試算

エネルギー政策

要旨

本稿は、2040年度の日本の発電コストについて、二つの対照的な電源構成シナリオを設定し、平均発電コストおよび全国総額を概算する。シナリオ1は、既存火力・既存原子力を最大限活用し、新設発電所を想定しないケースである。シナリオ2は、第七次エネルギー基本計画の2040年度見通しに沿って、太陽光・風力を大量導入し、火力発電をCCS付きとするケースである。

水力・原子力は、両シナリオにおいて同一の発電量・同一の単価である共通項として扱う。このため、政策選択による追加費用を比較する本稿の中心推計では、水力・原子力の単価を0円/kWhとして扱う。(これは、水力・原子力の発電コストが実際にゼロであるという意味ではないく、両シナリオに同じ費用が加わるため、差額計算には影響しないという意味である。)

中心推計において、シナリオ1の平均コストは3.62円/kWh、シナリオ2の平均コストは27.76円/kWhとなる。差額は24.14円/kWhである。これを2040年度の発電電力量1.1兆kWhおよび1.2兆kWhに掛けると、年間追加発電コストはそれぞれ約26.6兆円、約29.0兆円となる。さらに、政府の「統合コストの一部を考慮した発電コスト」に含まれない地域間連系線増強や蓄電池整備等について、本稿の感度分析として例示的に2円/kWhを加えると、追加費用はそれぞれ約28.8兆円、約31.4兆円となる。

以上より、第七次エネルギー基本計画に沿って太陽光・風力およびCCS付き火力を大量導入する場合、既存火力・既存原子力を活用する場合に比べて、2040年度時点で年間30兆円規模の追加発電コストが発生し得ることが示される。これは電気料金へ転嫁されることで30兆円規模の国民負担増となる。


キーワード:
第七次エネルギー基本計画、発電コスト、統合コスト、太陽光発電、洋上風力、CCS、既存火力

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