コラム  国際交流  2026.05.20

中国経済の成長率は長期的に減速傾向ながらハイテク産業は好調持続~日本企業の対中投資の懸念材料は日本政府の経済安保政策の副作用~|中国経済情勢/ヒアリング

<大連・北京・上海出張報告(2026年4月16日~30日)>

中国

<主なポイント>

  • 26年1Q(1~3月期)の実質GDP成長率は前年比+5.0%と、前期(同+4.5%)に比べ上昇した。しかし、中国現地では緩やかな回復を実感するという見方は皆無。
  • 輸出は、米国向けが前期に続いて大幅な減少となったが、東南アジア、欧州、アフリカ向け等が高い伸びを示したため、輸出全体でも堅調な推移を辿っている。輸出全体に占める米国向けの比率は2018年の19.3%に対して本年1Qは9.9%とほぼ半減。
  • 投資は、第十五次5か年計画関連の大型プロジェクトが本年からスタートするため、インフラ建設投資や国有企業の設備投資が大幅に伸びを高めた。国有企業の投資は1Q前年比+7.1%と民間企業同-2.2%に比べて伸び率が大幅に拡大した。
  • 1Qの不動産販売額、販売面積は下落幅がさらに拡大している。着工床面積も大幅なマイナス幅が続いており、依然として深刻な停滞が続いている。1級都市等の中古住宅価格が若干上昇したが、不動産市場の深刻な停滞には変化が見られていない。
  • 25年4Qは、25年度の経済成長率目標(5.0%前後)の達成がほぼ確実となったことを背景に、景気刺激策の補助金支出が抑制され、本年1Qに先送りされた。このためインフラ建設と消費は1~2月の伸びが高まったが、3月には伸びが鈍化した。
  • PMI製造業の四半期ベースの平均値の推移をみると、24年4Q以外は22年4Q以降50割れが続いている。PMI非製造業は25年4Q(49.9)が22年4Q以来初めて50割れとなったのに続き、26年1Q(49.7)も50割れとなった。
  • 昨年11月以降の日中関係悪化にもかかわらず、依然反日デモもなく、日本製品に対する不買運動もなく、日本企業の中国ビジネスへの影響はほとんど見られていない。
  • 中国政府によるレアアース輸出規制の影響は徐々に拡大しつつある。ただし、輸出停滞の期間や影響範囲の大きさなど実際の影響がどの程度に及んでいるのかを把握することが難しい状況にある。
  • 中国国内のテレビ、新聞等は、日本政府が「新型軍国主義」の姿勢を強めている、日本の治安が悪化しているといった反日プロパガンダを連日報じている。今のところ中国現地の日本企業への影響はないが、この状態が続くと、いずれ反日デモ、日本製品不買運動、街中での日本人に対する危害等につながっていくことを日本企業が懸念し始めている。

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中国経済の成長率は長期的に減速傾向ながらハイテク産業は好調持続~日本企業の対中投資の懸念材料は日本政府の経済安保政策の副作用~|中国経済情勢/ヒアリング