メディア掲載  財政・社会保障制度  2026.05.08

日本の郵便が心配

『税務経理』(時事通信社)第10329号(2026年4月24日)に掲載

税・社会保障

少なくとも最近までは、日本の郵便は、普通郵便でも十分にきちんと手元に届くと思っていた。小包はゆうパック、現金送付ならば現金書留、追跡が必要なら書留や簡易書留、特定記録を利用すればよいと子どもの頃から教わってきたし、そのようにしてきた。郵政民営化後も、郵便料金の値上げ以外のサービスの変化を感じたことはほとんどなかった。

しかし、最近、ちょっと事情が変わってきたようなのだ。普通郵便を出そうと郵便窓口に行くと、「追跡が必要でしたら、普通郵便じゃない方がいいと思います」と、レターパックなど、より値段の高いサービスを勧められることが増えた。以前ならば、レターパックを勧められるのは値段が安くなる時だったが、現在では紛失前提のような勧め方に変わってきている。もしかして、日本郵便株式会社はひどい経営難なのかと思い、2025年3月期の財務諸表を見ると、確かに赤字に転じているが、資産はたくさんあるし、2019年4月から実施されている「郵便局ネットワーク維持交付金」は3,030億円も投入されており、すぐに倒産しそうなわけではない。郵便局の職員は、経営難のため収入を増やそうとしてではなく、紛失を心配してレターパックを勧めているようなのである。

今年になって、職場で、普通郵便で送った支払調書が届かないという事例が起きた。私の長い社会人経験で初めてのケースだった。普通郵便の紛失が増えているのかもしれないと調べてみると、日本郵便は、2025年10月31日に総務省からの「郵便物の放棄・隠匿等に関する公表等について(要請)」に対する報告を行っている。それによると、2020年以降に把握できるものとして、8,182通が適切に配達されていなかった。

しかし、顧客に対して、追跡のために、普通郵便ではなくレターパックを勧めるのは本末転倒ではないか。国民により高い値段を出させてレターパックなどに誘導するのではなく、普通郵便が無料ならばともかく、85円や110円、140円などの料金は払っているので、普通郵便を本来の姿に戻すべく、きちんと配達するようにすべきではないか。もし追跡しないといけないくらい業務の質が低下しているならば、バーコードは安価なので、普通郵便にも追跡できるようにバーコードを付ければよい。もしくは、全部追跡可能を前提として郵便の種類や料金を改め、現代化してはどうか。人口減少社会が本格化する前に、国民負担を増やさない方向で、業務を見直しておくことが必要である。