中国は2035年までに「経済力、科学技術力、国防力、総合的国力、国際的影響力を大幅に向上させ、一人当たりGDPを中等先進国のレベルに引き上げ、人々の生活をより幸福なものにし、社会主義近代化を基本的に実現する」という目標を掲げている。
中国の「経済大省(広東省、江蘇省、山東省、浙江省、四川省、河南省)」には、同国の「質の高い経済発展」のために積極的な役割を果たすことが期待されているが、ここ数年、広東省経済に陰りがみえかけている。
広東省経済の停滞は、①伝統的製造業の構造転換の遅れと、②広範な貧困地域の存在によるところが大きいと指摘されている。同省にはハイテクとイノベーションを軸に目覚ましい成長を遂げている深圳市があり、珠江デルタ地域はAI技術の導入で高い評価を受けている。しかし、それだけでは省全体を安定的に成長させることは難しく、同省は目下、香港・マカオと連携する「粤港澳大湾区発展計画」と、農村部を主体とする「百千万プロジェクト」を軸に、経済の活性化に取り組んでいる。
伝統的製造業の構造改革の難しさや省内地域間格差の複雑さは、同国内の他の多くの省も悩まされている根の深い問題である。国内最大の経済規模を有し、税収額も国内最大である広東省ですら問題解決に手を焼いていることに鑑みると、経済発展の遅れた地域はより深刻な課題に直面していると想像される。難題解決のためには、中央と地方政府がしっかりと情報を共有し、地道な努力を重ねていくことが求められる。