コラム  国際交流  2026.04.08

主要国はトランプ大統領のイラン攻撃を批判できないが、米国内では支持率が低下~米国の西半球重視は言葉だけで、基本的な戦略方針に変化はない~|日米中関係/ヒアリング

<2026年2月22日~3月15日 米国欧州出張報告>

<主なポイント>

  • 米国とイスラエルによるイラン攻撃に対し米欧の有識者のほとんどが国際法違反であると指摘して反対している。トランプ大統領の攻撃決断の動機としてエプスタイン文書から国民の関心をそらして追求を免れることにあるとの見方も多い。MAGAの一部の人々も「アメリカ第一」の基本方針に反していると批判している。
  • 米国の消費者物価は過去5年間で24.5%も上昇。富裕層の収入だけが増加し、中間層以下の収入は横ばい圏内で推移している。そこにイラン攻撃によるガソリン価格の急上昇が加わり、米国一般庶民の生活は苦しくなり、不満は一段と高まっている。
  • 米国移民・関税執行局(ICE)の職員が一般市民を射殺したことが強い反発を招き、移民問題の焦点が、移民の削減からICEに対する批判へと変化している。
  • トランプ大統領の支持率が低下しているため、11月の中間選挙では、下院は野党民主党が過半数を確保する見通し。上院でも民主党が過半数を上回る可能性。
  • 最近米国政府が公表した2つの重要文書において西半球重視方針が示されたため、日本ではそれが懸念されている。しかし、米国の専門家の多くはこれらによる米国の安全保障戦略および対中戦略への影響はほとんどないとの見方が一般的である。
  • 米国の中国専門家の間では、トランプ政権に中国戦略はなく、トランプ大統領の思い付きによって対中戦略方針が随時変化する。5月に予定される訪中時の米中首脳会談も基本的な米中関係に大きな影響を与えることはないとの見方が共有されている。
  • 中国から報復制裁措置としてレアアースの輸出規制を突き付けられ、トランプ政権は中国に対する妥協を余儀なくされている。こうした影響もあって米国はデカップリングからデリスキングへと対中政策の重点を移しつつあるとの指摘もある。
  • 欧州各国の専門家・有識者は米国トランプ政権とは価値観を共有することができないとの見方でほぼ一致している。トランプ政権後の米国政府についても、以前のような相互信頼関係に戻ることができない状態が長期的に続くとの見方が一般的。
  • 第2次トランプ政権発足後1年2カ月が経過したが、その間、米欧関係を大幅に悪化させた2つの要因があった。第1は、25年2月のミュンヘン安全保障会議におけるヴァンス副大統領のスピーチ、第2は、本年1月にトランプ大統領がホワイトハウスで行った記者会見で、グリーンランド領有の意欲を改めて示したことだった。
  • 本年2月のミュンヘンでのルビオ国務長官のスピーチも、表現はマイルドだが、基本的な中身は変わっていないため米欧関係を改善させる効果はないとの見方で一致。

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主要国はトランプ大統領のイラン攻撃を批判できないが、米国内では支持率が低下~米国の西半球重視は言葉だけで、基本的な戦略方針に変化はない~|日米中関係/ヒアリング