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中国の経済成長段階の変化
中国経済は2012年頃に高度経済成長期を終え、その後は新たな成長モデルを模索する状況が続いている。同国「国民経済・社会発展第14次5カ年計画(2021~25年)」の時期においては、新型コロナウィルスの世界的蔓延、国内不動産バブルの破裂、米中経済摩擦の激化など、未曾有の不安定要因が相互に絡み合い、経済に深刻な打撃を与えた。同期間中の実質GDP成長率は平均5%台と、政府がやや幅をもたせた目標水準を確保する見込みではある(図表1)。ただし、生産者や消費者の景況感は弱く、投資、消費ともに力強さを欠いている。
一方、国際通貨基金(IMF)は2025年4月公表の世界経済見通し(World Economic Outlook)で、同年の中国の一人当たりGDPを13,687ドルと予測している(図表2)。一般に、一国の当該数値が1万ドルを超える頃から、国民の消費活動が多様化、活発化すると言われており、2018年に1万ドルを超えた中国でも、約4億人の中間所得層を中心に様々な変化が生じている。
新たな発展が期待される観光業
そうした中で、近年は観光・レジャー産業に従来の枠組みを超えた発展が期待されている。
※注:本文P.35第2段落の「13,678億ドル」は「13,687ドル」の誤記ですので、訂正します