歩道を歩いていると、大人が乗った自転車の爆走に困ることはないか。都会の住宅地では、自転車が歩道の真ん中を爆走している。以前は、自転車に乗っている人は、歩道では自転車から降りて、自転車を押しながら歩くのが当たり前だった。
そもそも、自転車は、歩道を走ってもいいのだろうか。自転車は、道路交通法上は軽車両に該当する。歩道と車道の区別がある所では車道通行かつ左側通行が原則である。
それなのに、いつからか大人が乗った自転車が歩道を爆走するようになった。2007年6月の道交法改正で普通自転車の歩道通行要件が明確化されたことによる国民の拡大解釈や誤った理解が、そのきっかけだと考える。
まず、法改正により「普通自転車歩道通行可」という標識がある歩道では、歩行者優先を守れば、自転車も走ることができるようになったことが挙げられる。しかし、標識の有無を確認しながら、自転車を運転するのはなかなか難しく、かえって危険を招くこともある。次第に標識を意識せずに運転するようになってしまうだろう。次に、道交法第63条の4第1項第三号「車道や又は交通の状況に照らして当該普通自転車の通行の安全を確保するため、当該普通自転車が歩道を通行することがやむを得ないと認められるとき」に対する拡大解釈が挙げられる。「やむを得ない」という文言を自分勝手に解釈し、自転車を運転しているのではないだろうか。
運転免許試験場や交通安全教室に来られた方を対象に警察庁が2021年に行ったアンケート(有効回答数2,729人)では、自転車利用者のマナー向上や安全確保のために警察や行政に期待することとして、「悪質な違反者に対する指導・取締り」との回答が64.0%で最も多かった。それを受けてか、2024年11月の道交法改正で、「ながらスマホ」や酒気帯び運転およびほう助に対して罰則規定が整備された。また、2026年4月1日から、自転車にも交通反則通告制度が開始となる。
ところで最近、「普通自転車歩道通行可」の標識は、撤去が進んでいるのをご存じだろうか。車道を走らないと違反になる所が増えているのだ。爆走する自転車を取り締まる土壌がじわじわとつくられているとも解釈できる。自重しないと、いずれ、一斉取締りが行われるのではないだろうか。さらには、普通自転車も免許制になったり、ナンバープレートが付与されたり、ゆくゆくは、自転車税という制度も現れたりするのではないか。