自民党総裁選が始まり、候補者たちの論戦が続いている。主要な論点にはなっていないけれども、筆者はエネルギー政策に関する発言に注目している。
特に興味を惹かれたのが、高市早苗候補と小林鷹之候補の発言である。両氏は共通して「太陽光発電の抱える様々な問題点」を指摘している。
高市氏は、各地で広がる大規模メガソーラーに強い懸念を示し、批判している。特に中国製パネルを大量に使った開発が、釧路湿原のような貴重な自然環境を破壊している点を問題視し、このような乱開発を誘発する補助金制度の「大掃除」が必要だと訴えている。これは、再生可能エネルギーの普及を第一に掲げてきた菅・岸田・石破の歴代の自民党政権の政策に真っ向から疑問を投げかける姿勢だ。
小林氏も同様に、太陽光への過度な依存に反対する立場を明確にしている。氏は理由を三つ述べている。第一に、太陽光は天候に左右されて発電が安定せず、需給の柱としては頼りにならないこと。第二に、他の電源と比べてコストが高く、国民負担が膨らんでいること。第三に、パネルの多くを中国製に依存しており、安全保障上のリスクになることである。エネルギーは国民生活と経済の根幹を支えるインフラである以上、供給の安定性と安全保障を最優先に考えるべきだ、という主張もしている。
さらに小林氏は「脱炭素から低炭素へ」という言葉を掲げた。そして具体的には、天然ガスや高効率な石炭利用といった形で、化石燃料も積極的に活用すべきだとしている。あわせて原子力発電も推進するとしており、現実的なエネルギー政策が必要だとしてしている。
これまでの「再エネ最優先」で「2050年脱炭素」という政策は、実現不可能であるのみならず、すでに再エネ賦課金をはじめとして光熱費の高騰を招いている。今後、高市氏・小林氏のような考え方が自民党の主流となれば、日本のエネルギー政策は大きく転換する可能性がある。