水素が「筋の悪い」エネルギーであり、経済性が成立する見込みはないことは、この連載でも松田智氏が何度も説得的に述べていた。
水素先進国が直面する種々の現実的困難と対応 vs. 日本の脳天気
今回はChatGPT(チャッピー)を活用して追加情報を集めてみたので紹介しよう。詳しくはリンクをご覧いただくとして、要点のみ、以下で述べる。
区分 |
プロジェクト(国) |
規模・稼働 |
電源・CO₂処理の実態 |
物理ネットゼロ達成度* |
グリーン(水素・アンモニア) |
Envision Chifeng Net‑Zero Park(中国・内モンゴル) |
500 MW電解(最終2.5 GW)2025‑07商業運転 |
2 GW級オフグリッド風力+300 MWh蓄電で島状運用。系統非連系。 |
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Iberdrola Puertollano(スペイン) |
20 MW電解+100 MW専用PV2022‑05稼働 |
同敷地の専用太陽光+20 MWh蓄電のみを給電。系統バックアップなし。 |
◎ 達成(Iberdrola, eFUEL-TODAY) |
さて水素が「筋が悪い」理由は松田氏が縷々述べてきた通りだけれども、1件だけ、高校生レベルで理解できることを補足しよう。こちらも詳細はリンクにして、以下は要約だけ述べる。
水素はH2、メタンはCH4であるが、おなじ1分子(同じ体積)が燃えたときの熱量は3倍も違う:
その一方で、水素も、天然ガスの主原料であるメタンも、気体の状態方程式PV=nRTを思い出せば、同じ分子数であれば同じだけの体積になる。
ということは、同じだけの熱量を得るためには、水素はメタンの3倍の体積が必要になる。
そうすると、単純に言っても、巷で見かけるガスタンクは、メタンから水素に切り替えると3倍の量が必要になる。実際には、それよりは、圧力の高いタンクを作ることになるが、これはもちろんコストがかかる。なお水素は分子が小さいので、金属を脆弱にしたり、漏れたりしやすいので、タンクには特殊な加工も必要になる。