日本の「エネルギーの使用の合理化等に関する法律」(通称:省エネ法)はエネルギーの無駄を省きつつ経済的合理性を追求するという性格のものだった。しかし近年、省エネ法は大きく変質して、費用対効果を度外視した規制強化が行われるようになった。特に2022年の改正では法律名に「非化石エネルギーへの転換等」が付け加えられて、元来の目的を逸脱してCO2の排出を規制する法律へと変容し、産業や家計にコスト負担を強いるものとなってしまった。従来、省エネ法は産業政策としては失敗し、国内産業の停滞や空洞化を食い止める効果はなかった。現代では、規制的な手法はAIやIoTなどによる急激な技術進歩についていけなくなった。現行の省エネ法は大幅に見直し、合理化と往々にして相反するCO2削減は法の目的から外し、規制色は緩めるべきである。
要約... 1
省エネ法の目的と拡大の沿革... 1
省エネ法の変質:CO₂規制の追加とコスト増大... 4
省エネ法は産業政策として有効なのか?... 6
提言:省エネ規制緩和... 7
参考文献... 9