ワーキングペーパー  グローバルエコノミー  2025.05.07

ワーキング・ペーパー(25-011E)Unbalanced Growth and Land Overvaluation

本稿はワーキングペーパーです。

経済理論

本稿は、Proceedings of the National Academy of Sciencesに掲載受理が決まった論文である。過去265年の歴史を振り返ると、市場経済は産業革命を経て、土地集約的なマルサス経済から資本集約的、知識集約的な現代経済へ移行してきた。当然、このような大きな歴史的な流れに伴って、土地が果たす役割も変化してきた。例えば、歴史的傾向として、生産要素としての土地の役割は低下してきた一方で、土地(不動産も含む)は貯蓄手段として重要な役割を果たしている。また、土地利用も大きく変わって来ており、都市部に人口、モノが集中してきている。本稿が示したのは、市場経済がこのような流れになると、地価はファンダメンタルズ価値から必然的に乖離し、地価バブルが生じる点である。とりわけ、経済全体の不確実性があるもとでの地価バブル必然性定理を証明した。この定理は大きく言って、三つの新たな見方を提示していると言っても良いだろう。一つ目は、そもそも長期トレンドとして地価バブルが生じる点である。この見方は、短期的には資産価格はファンダメンタルズ価値から乖離することはあっても、長期的にはファンダメンタルズ価値と等しくなるはずだという通念と異なる。二つ目の見方は、経済全体の不確実性に伴い、地価は長期トレンドの周りを上昇したり下落したりするが、地価は常にバブルを伴う。地価バブルの規模が拡大したり縮小したりを繰り返しながら地価とマクロ経済は変動し続ける。このトレンド周りの変動はあたかも地価バブルの発生と崩壊に見えるかもしれない。三つ目は、都市形成の過程で、都市の地価バブルが必然的に生じる。

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ワーキング・ペーパー(25-011E)Unbalanced Growth and Land Overvaluation