ワーキングペーパー  グローバルエコノミー  2025.04.04

ワーキング・ペーパー(25-010E)Life Insurance, Natural Disasters, and Human Capital Investment: A Case of Early 20th Century Japan

本稿はワーキングペーパーです。

日本 経済政策 税・社会保障

要旨:

本論文は、負の所得ショックが教育に与える影響を、生命保険がどの程度緩和したかを検証したものである。具体的には、20世紀前半の日本で、地震災害が中等教育(中学校および高等女学校)における上級学年への進級にどのような影響を与え、その影響を生命保険がどの程度緩和したかを、男女別進級率、生命保険金の支払額、地震災害に関する府県別データをもとに分析した。その結果、震災は直接には男女ともに進級率に有意にマイナスの影響を与えたこと、生命保険は男子については有意に震災のマイナス効果を緩和し、緩和の程度は関東大震災の場合は震災の直接的影響の36.6%に達したこと、一方女子については生命保険の緩和効果がほとんどなかったことが明らかになった。男女間の生命保険効果の差は、当時、中等教育が人的資本形成において持っていた役割の男女差を反映していると解釈され、推定結果は生命保険の役割に関する理論的研究の含意と整合的である。

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ワーキング・ペーパー(25-010E)Life Insurance, Natural Disasters, and Human Capital Investment: A Case of Early 20th Century Japan