ワーキングペーパー グローバルエコノミー 2025.03.10
本稿はワーキングペーパーです。
1937年の日中戦争開始後、日本政府は「不要不急」産業への資金配分を抑制し、それを通じて軍需関連産業と国債への資金配分を確保することを意図して金融統制を実施した。そのため政府はさまざまな産業を甲、乙、丙等に区分し、「不要不急」と認定された丙産業への資金配分を厳格に規制した。この論文では、丙産業への資金配分規制の影響を企業レベルのパネルデータを用いて検証した。推定結果は、資金配分規制の結果、丙産業に属する企業の資本金増加率は年率6.5%ポイント低下したことを示している。またこの結果を用いたシミュレーションによると1942年における丙産業の資本金総額は、規制が行われなかったと仮定した場合と比べて30%小さかった。