トランプ大統領が誕生し、米国のエネルギー政策は完全に変わった。これまではバイデン政権のもとで「グリーン・ニューディール(日本で言う脱炭素のこと)」にまい進してきたが、これを撤廃して「エネルギー・ドミナンス(優勢)」に舵を切った。石油・天然ガス・石炭を掘りまくり(drill baby drill)、経済を発展させる、という考え方だ。
よく日本では「トランプ大統領が変人なので科学を無視して気候変動を否定するのだ」という調子で報道されるが、これは全く違う。
米国共和党は、総意として、「気候危機説」をでっちあげだとして否定しているのだ。
そしてこれは「科学を無視しているから」などではない。「科学をよく知っているから」こそである。
米国の議会公聴会では、共和党が招聘した科学者も証言をする。そこで「ハリケーンの激甚化など起きていない」とか、「数値モデルによるシミュレーションは過去の再現すら出来ない」といったことをはっきりと、データを示して証言する。
だから共和党の議員はみな、気候危機説などウソだとよく分かっている。日本の政府御用学者が、データを隠し、気候危機をあおり、脱炭素の説教をして、オールドメディアも国会議員も皆それを信じ込んでいるのとは対照的だ。
米国の科学者の証言は、これまで何度もまとめられてきた。さらに現在進行形で、共和党系の有力なシンクタンクであるヘリテージ財団が一連の委託報告書を発表しているので、以下に概要を紹介しよう。
図1 米国に上陸したハリケーンの数 左:全数 右:カテゴリー3以上の強いハリケーン。
https://www.heritage.org/energy/report/keeping-eye-the-storms-analysis-trends-hurricanes-over-time
図2 寒さによる超過死亡と暑さによる超過死亡
以上、主なメッセージは、これまでも指摘されてきたことであるし、筆者もいくつかの著作でまとめてきたこととほぼ同じだ。だが改めて、最新のデータを分かり易い図で示し、正確かつ簡潔な説明が付けてある。
共和党は総意として、グリーン・ニューディールを止め、パリ気候協定からは離脱する。
その一方で日本政府は、2050年までに温室効果ガス実質ゼロを目指したエネルギー基本計画を閣議決定し、40年までに温室効果ガスを13年比で73%も削減するという国別目標をパリ気候協定に提出しようとしている。
日本人もデータに学んで気候危機説がウソであることを理解し、経済的な自滅であるパリ協定への数値目標の提出は見合わせるべきだ。