コラム  国際交流  2025.02.27

誰も予想していなかった2024年成長率5%到達と2025年の展望|中国経済情勢/ヒアリング

~今後予想される経済対策の1つは先富論への回帰~

<成都・北京・上海出張報告(2025年1月12日~25日)>

中国経済

<主なポイント>

  • 24年4Qの実質GDP成長率は、前年比+5.4%と、前期(同+4.6%)に比べ拡大。24年通年では+5.0%に達した。これは殆どのエコノミストの予想(4.8~4.9%)を上回った。4Qの季節調整済み前期比年率は+6.4%と前期(同+5.2%)に比べ改善。
  • 先行きについても企業経営者や消費者は将来に対する自信を回復できないため、内需の回復を期待する見方は少ない。
  • 9月下旬に金融財政両面の景気刺激策が発表されたが、モデレートなものだったため、マクロ指標の改善は小幅なものにとどまった。
  • 4Qの外需の高い伸びは、トランプ政権による関税引き上げ前の駆け込み輸出の増加と、消費の不振を中心とした内需の伸び鈍化による輸入の伸び低下が主な要因。
  • 2Qと3QのGDP季節調整済前期比伸び率がそれぞれ0.5%→0.9%、0.9%→1.3%と上方修正された一方、前年比の伸び率は修正されていないなど、解釈が難しい内容であるため、一定期間経過後、統計データが修正される可能性が高いとの見方が多い。
  • PMI(購買担当者景気指数)も回復傾向が見られないまま、一進一退の状況が持続。
  • 1級都市の中古住宅販売価格は価格下落傾向に歯止めがかかりつつある。70大都市の不動産価格を見ても、新築、中古とも前月比で値上がりした都市が増え始めているほか、販売面積も前年比マイナス幅は縮小傾向を示している。しかし、不動産価格が25年中に価格の下落傾向に歯止めがかかる見通しはなく、1~2級都市の正常化は26~28年頃との見方が一般的。
  • 不動産価格の下落に伴う資産効果がマイナスに働いているほか、経済の先行きに対する不安も根強く、消費行動における節約志向の基調は変わっていない。
  • 先行きについては、12月下旬に経済力の強い主要省市に対して専項債発行条件が緩和されたことを背景に、それらの省市では財源難の問題が徐々に改善に向かう可能性が期待できる。
  • 25年の成長率目標は5.0%前後になると予想されている。その実現のために国債・地方債の増発による政府支出の拡大に基づく景気刺激策の実施が期待されている。
  • 日本人学校殺傷事件の影響については、中国駐在の日本人は落ち着きを取り戻しているが、今後赴任予定の社員の家族の不安は強く、一部に赴任拒否の動きがある。

全文を読む

誰も予想していなかった2024年成長率5%到達と2025年の展望|中国経済情勢/ヒアリング