米大統領選挙では、ドナルド・トランプ前大統領の優勢が伝えられている。もし、トランプ氏が大統領に復活すれば、米国のエネルギー政策は180度変わる。ジョー・バイデン政権はグリーンディール、つまり日本で言うところの「脱炭素」政策に熱心だったが、これは全てとりやめる。
「環境に優しい投資」であるESG投資に政府機関が関与することは禁止される。国際的な「脱炭素」政策を推進するパリ気候協定から米国は離脱する。以上は就任1日目の来年1月20日に発表されるだろう。
日本もこれに合わせて「パリ気候協定」から離脱すべきだ。そうすればパリ気候協定は空文化し事実上終焉する。具体的には2月までとされている次期数値目標提出をしなければよい。
実は、日本は過去にこれと同じことをしている。
1997年に京都会議で合意された京都議定書は、2010年に日本が次期数値目標を提出しないと宣言したことで、事実上終焉した。京都議定書は当初より、中国と米国が参加しない枠組みだったので、実効性がなく、これは正しい判断だった。
いまパリ気候協定は、日本など少数の先進国だけが経済自滅的な「脱炭素」に突き進むという、京都議定書以上に有害なものになっている。日本は、ドイツや英国などと無理心中をすべきではない。いまこそ離脱すべきだ。
もし日本がパリ気候協定に残り続けると、足下で進む光熱費の高騰がますます進む。過去10年間日本のCO2(二酸化炭素)は減り続けてきたが、この理由は何かと言えば、産業空洞化だ。鉄鋼業などは、どんどん日本から逃げ出している。製造業は崩壊し、経済も壊滅する。
そもそも、気候変動問題はもはや国際問題としてオワコンだ。ロシアは石油とガスを生産し輸出することで経済を維持し、軍事費を捻出しているが、誰がそれを止めさせることが出来るというのか?
中国も、インドも、そのロシア産の石油を毎日大量に買い付けていて、経済成長のためには石炭火力発電所を建て続けている。だれが止めさせることができるのか?
G7(先進7カ国)の首脳にしても、国際会議において、気候変動を主要な議題にするなどという贅沢はもはやあり得ない。顔を合わせるたびに、ウクライナやイスラエルの戦争、台湾など中国周辺の安全保障、ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカで構成されるBRICSが台頭し、急速に力を失うG7経済をどう立て直すかに必死になる。
「百害あって一利なし」のパリ気候協定を日本は終わらせるべきだ。