「手取りを増やす」という分かりすいメッセージで躍進した国民民主党が自公与党と政策協議をしている。最大の焦点は「103万円の壁」と報道されている。
その一方で、エネルギーに関しては、国民民主党は原子力発電の推進、ガソリン税の軽減、再エネ賦課金の停止などを掲げてきていて、これはいずれも光熱費の削減につながる。
だがいま、国民民主党には、もっと大きな絵を見てほしい。本当に光熱費を下げたければ、菅・岸田政権が進めてきた「グリーントランスフォーメーション(GX)」こそ廃すべきだ。
2023年に成立したGX法では、10年間で150兆円の投資を見込んでいる。この原資は全て国民負担になる。
投資先が有望ならよいが、全くそうではない。再エネを筆頭に、CO2回収貯留、アンモニア発電、水素合成燃料など、きわめてコストのかかる技術ばかりが並んでいる。このような技術を大量導入すると、どうなるか。
過去に再エネ賦課金で起きた失敗が拡大され、繰り返されるだけだ。
つまり光熱費はますます高騰し、国民経済は疲弊する。
再エネ賦課金はいま年間3兆円弱であるが、GXは毎年15兆円もかかる。再エネ賦課金だけ停止しても、それは木をみて森を見ず、ということにならないか。
CO2を減らしたいのならば、原子力発電の推進、それからコストがかからない範囲での省エネを進めればよい。筋の良い省エネならば、設備投資に費用をかけても、光熱費の削減で取り返せる。
日本の電気代は、ここ15年ですっかり高騰した(図1)。
図1 電気料金平均単価の推移
出典:資源エネルギー庁
筆者らは、「非政府有志によるエネルギー基本計画」提言において、「電気代を東日本大震災前の2010年の水準に戻す」ことを、政府の目標にすべきだと提言した。これは日本商工会議所のエネルギー基本計画への提言にも取り入れて頂いた。
玉木代表率いる国民民主党にも、光熱費を2010年の水準に戻すことを目標として掲げて、GXに偏った国民生活無視のエネルギー政策を換骨奪胎して頂きたい。