岸田首相が「脱炭素製品の調達の義務付け」を年内に制度設計するよう指示した。義務付けの対象になるのは政府官公庁や、一般の企業と報道されている。
ここで言う脱炭素製品とは、再生可能エネを利用した鉄鋼や化学製品、バイオ燃料、電気自動車などを念頭に置いている。
だがこんなことをすれば、企業はコストが高くなり、賃金のカットや製品の値上げを余儀なくされる。政府も、予算が不足して、行政サービスのレベルを落とすか、増税するしかなくなる。いずれにせよ、国民の負担となることは間違いない。ステルス増税だ。
政府はグリーントランスフォーメーション(GX)を推進しており、今後10年間で150兆円の官民の投資を「規制と支援」によって引き起こすとしてきた。投資と言うと聞こえがよいが、原資を負担するのは国民だ。150兆円といえば一人当たり120万円にもなる。この脱炭素調達義務付けはその一環だ。
再エネや水素など、政府が進める技術はコストが高いので、そのままでは誰も買い手がいない。そこで、義務付けによって強制的に買わせようという訳だ。
その一方で、政府は先日、光熱費への補助金を8月から再開すると発表している。
電気・ガス補助再開で8・9月2125円安く 10月は1300円
一方でステルス増税をしておきながら、他方では国税を投入して光熱費に補助金を出す。これは国民を愚弄している。光熱費を下げるためには、国民負担の付け回しに過ぎない補助金に頼るのではなく、愚かな脱炭素政策を止めるべきだ。