主権、主権国家ということばを、メディアなどで、頻繁に目にします。たとえば、東シナ海の尖閣諸島をめぐる緊張状態において、日本の主権を守るという主張は、繰り返し、みられます。
それでは、主権をもつ、主権国家であるということは、どういう意味でしょうか。国際社会において、主権国家は、「国際法の主体」です。それは、どういう意味でしょうか。
最初に、主権国家の二つの側面を明らかにした上で、次のような順序で、考えてみたいと思います。
I.主権の二つの側面:①消極的・受動的側面、②積極的・能動的側面
①は主に、主権国家が国際法を遵守することを意味します。②は主に、主権国家が、国際法を改革し、創造することを意味します。
II.日本の国際法に対する態度の変遷:幕末から明治における、日本による国際法の受容から現代へ
III.国際法の基本的構造は、主権国家にどのような可能性や機会を与えるか
IV.国際法の現代的特徴は、主権国家に、国益と国際社会の一般利益の調和的実現のために、どのような可能性や機会を与えるか
V.近年の実践から見て、日本は「主権国家=国際法の主体」であるか?
Double Aspects of Being a Sovereign State: Positive and Passive Aspects