メディア掲載 エネルギー・環境 2024.02.16
害毒は「京都議定書の1000倍」トランプ氏復活なら離脱せよ
夕刊フジZAKZAK(2024年2月14日)に掲載
もし、ドナルド・トランプ前米大統領が大統領選で勝利すれば、米国は地球温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」から離脱する。日本もそれに合わせて離脱し、パリ協定を死文化すべきだ。同協定は、どのみち完全に行き詰まっている。
昨年12月のCOP28(国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議)に先立つG7(先進7カ国)合意では、途上国にも「2050年CO2(二酸化炭素)ゼロ」を宣言するよう要請した。だが、これは端から拒絶されたので、COP28では議題にすらならなかった。先進国は「戦わずして負けた」のが実態だ。
もはやグローバルサウス(新興国・途上国)は、G7のお説教などに従うつもりはない。
パリ協定は、先進国だけがCO2を削減するという、かつての京都議定書とそっくりの一方的な協定になってしまった。
否、CO2目標が極端になり経済に破滅的な悪影響を与える故に、その害毒は京都議定書の1000倍する。
そもそも、日本が京都議定書を10年に離脱したのは、中国などの途上国が義務を負わない一方的な枠組みだったからだ。それを受けて「すべての国が参加する枠組み」と銘打ったパリ協定が15年に採択された。
だが、その後、欧米では左翼リベラル的な政権が大勢となり、G7はCO2の数値目標を極端に深掘りした。おおむね30年に半減、50年にゼロ、という目標に行き着いた。
この実現不可能な目標の達成を目指す欧州や日本では光熱費が上がり、産業空洞化が起きている。このままでは破局的に悪化するだろう。
他方で、中国を筆頭に、途上国はまったくパリ協定を意に介さずCO2排出を増やしている。
さらに先進国は大きなヘマをした。
「気候危機だ、いまの異常気象はCO2排出のせいだ」と科学的根拠がまったくないにもかかわらず言い続けた。そのせいで、途上国は「過去にCO2を大量に出した犯人である先進国が被害を賠償すべきである」「われわれが温暖化対策をする条件は、費用をすべて先進国が負担することだ」と切り返した。
その総額は年間5兆ドル(741兆円)とされ、日本のGDP(国内総生産)に匹敵する。先進国に払える訳がない。
すべては「科学に従って」という決まり文句の下で進められてきたが、実態は科学ではなくカルトである。気温上昇が1.5度を少しでも超えたら破局するというのも完全なウソだ。
いまやパリ協定は害悪でしかない。日本の経済を壊滅させ、中国を利する、科学ではなくカルトに基づいた、破滅的な不平等条約になった。
このような愚かなパリ協定から離脱するというのは、トランプ氏だけでなく、米国共和党の総意である。
京都議定書は、日米の離脱で死文化した。今度はパリ協定を死文化させねばならない。米国とともに日本が離脱することで、それは達成できる。