目次
1.力強さを欠く足元の経済成長
2.地方財政の全体像
3.「土地依存」からの脱却
4.安定成長の道への課題
成長速度の減速
中国経済は2022年半ば以降、安定を維持しつつも反転の勢いに欠ける状況が続いている。2022年の中国の実質国内総生産(GDP)成長率は、「ゼロコロナ政策」に伴う厳しい経済活動の制約を主因に、第2四半期に大きく落ち込んだ後、年後半も4%以下となり、通年では前年比+3.0%に止まった。国連貿易開発会議(UNCTAD)は2022年の世界経済全体の実質GDP成長率を+3.1%と推計しているが、中国の成長率が世界平均を下回ったのは1976年(中国-1.6%、世界平均5.3%)以来のことであった。
2023年に入ると、中国経済は緩やかな回復の兆候を示し、実質GDPは第1四半期に前年比+4.5%、第2四半期に同+6.3%(上半期通算同+5.5%)の増加となり、政府年間目標(同+5%前後)の達成はさほど難しくないようにみえた。しかし、第2四半期の消費の伸びは前年の反動といった要因が大きい一方、外需は低調で、懸念材料が残る結果となった。