コラム  グローバルエコノミー  2023.11.27

足許の中国経済は緩やかな回復ながらコンフィデンスの回復は鈍い|中国経済情勢/ヒアリング

~経済の正常化は2025年以降か~

〈2023年10月18日~11月2日 北京・広州・上海出張報告〉

中国経済

<主なポイント>

  • 23年3Qの実質GDP成長率は、前年比+4.9%と、前期(同+6.3%)に比べ前年比では伸び率は鈍化した。しかし、季節調整済み前期比年率は+5.2%と前期(同+2.0%)に比べて大幅に改善。
  • 不動産開発投資を除けば、工業生産、サービス生産、製造業設備投資、消費等全般的に8月以降緩やかな回復傾向が続いている。
  • しかし、先行きについては2つの要因から不透明感が強く、企業経営者や消費者のコンフィデンスの回復は鈍い。第1に、不動産市場の極度の不振による地方政府の財源難の深刻化と中小金融機関の破綻リスクの増大である。第2に、経済の現状の厳しさに対する党・政府上層部の認識が不十分なため、的確かつタイムリーな政策運営が行われていないという懸念が広く共有されていることである。
  • 前期2Qの急減速の後、8月以降緩やかな回復に転じた背景には企業経営者、消費者の不安心理の鎮静化があると見られている。
  • 民間企業の投資は1~9月累計前年比-0.6%と投資全体の伸び(同+3.1%)を下回った。しかし、不動産関連を除く民間企業の投資は同+9.1%と高い伸びを示しており、不動産関連以外の民間企業設備投資は堅調に推移している。
  • 財政部は1兆元の特別国債を発行し、インフラ建設資金に充当することを発表。中央政府が地方政府を救済する姿勢を示したことを多くのエコノミストが歓迎した。
  • 不動産開発投資は1~10月累計前年比-9.3%とさらにマイナス幅が拡大し、下落傾向に歯止めがかからない深刻な状況が続いている。中古住宅販売価格が前月に比べて上昇した都市数は10月に70都市中2都市のみとなり、ほぼ全面安となった。
  • 今後価格下落の範囲が地方都市から主要都市へと拡大していくリスクが懸念されている。これを防ぐためには、早い段階で健全資産と不良債権を分類し、不良債権化した物件の売却に伴う損失計上に際して適宜公的資金を投入することが必要となる。
  • 先行きに対する企業経営者や消費者のコンフィデンスの回復は鈍く、現時点では経済が正常化したと言える状態ではない。コンフィデンスが本格的に回復するには今後1~2年の時間を要するため、目の前の不透明な霧が晴れるとすれば2025年以降になる可能性が高いと見られている。

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