米国マンハッタン研究所の公開論文「エネルギー転換は幻想だ」において、マーク・ミルズが分かり易い図を発表しているのでいくつか簡単に紹介しよう。
どの図も独自データではなく国際機関などの公開の文献に基づいている。
2050年に脱炭素なんて出来っこありません、ということを端的に示すものだ。
世界のエネルギー供給は増え続けている。太陽・風力が増えたといってもまだごくわずかだ(図の縦軸は10億石油等価トン/年)。世界は圧倒的に化石燃料に頼っている:
世界のエネルギー供給が増え続けているのは、所得が上昇するにつれて、一人当たりのエネルギー消費が増えるからだ。つまりこれからもどんどん増える。
世界中の多くの人々がより豊かになると、より良い医療から車や休暇まで、他の人々がすでに持っているものを欲しがるようになる。裕福な国に住む10億人は、世界の他の60億人に比べて、一人当たり5倍以上のエネルギーを使用している。裕福な国では、国民100人当たり80台の車が走っているが、他の地域では100人当たり数台しかない。世界人口の80%以上がまだ一度も飛行機に乗っていない。
太陽・風力発電が急激に拡大してきたとよく宣伝されるが、じつはシェールガス・オイルの拡大の方が急激で規模も大きかった。過去20年で革命が起きたのは再生可能エネルギーよりもむしろ化石燃料の方だった。
バッテリー未来予測として、半導体の「ムーアの法則」になぞらえて、指数関数的に性能が改善するようなことがよく言われるが、現実にはそんなことは起きていない。
図はバッテリーのエネルギー密度をガソリンと比べたもので、6%以下のところで停滞が続いている(なおこのエネルギー密度の比較は、電気自動車のモーターがガソリン自動車のエンジンよりも効率が高いことを考慮している。それでもこの程度、ということ):