メディア掲載  エネルギー・環境  2023.04.12

電気代はなぜ高いのか…理由は3つの〝エコ政策〟補助金を何兆円ばらまいても意味はない 「反原発」「再生エネ推進」「脱炭素」やめるべきだ

夕刊フジ(2023年3月22日)に掲載

エネルギー・環境

電気代が高騰している。理由は3つある。

1は「反原発」だ。原子力発電さえ稼働すれば電気代は下がる。昨年のデータで比較すると、原発がきちんと稼働して、販売電気全体の3割程度を担っていた九州電力と関西電力では電気料金が低かった。

例えば、家庭用電気料金(標準家庭の規制料金)で比較すると、九州・関西は月当たりで6000円程度であった。他の地域は9000円から1万円程度で、その差は歴然としていた。

2は「再生可能エネルギーの大量導入」だ。太陽光発電などの大量導入のための原資として、家庭や企業の支払う電気料金には「再生可能エネルギー賦課金」が上乗せされて徴収されている。2021年度において、賦課金総額は27兆円だから「一人あたり年間2万円」だった。これは3人家族なら6万円に上っていたということだ。

3の理由は「天然ガス価格の高騰」だが、これも実はエコのせいだ。

欧州は「脱炭素」のためとして石炭利用を止め、天然ガス開発を止めてきた。ドイツは同時に脱原発までした。

代わりに風力発電を増やしたがこれでは全然足りず、ロシアからパイプラインで供給される天然ガス頼みとなった。この状態をみたロシアのウラジーミル・プーチン大統領は「欧州は本気で経済制裁などできない」と読んで、ウクライナに侵攻した。欧州は、誤ったエネルギー政策のせいで、自ら脆弱(ぜいじゃく)性をつくり出し、それが戦争を招く要因になったのだ。

戦争が長期化すると、欧州はプーチン氏の予想に反してロシアからのエネルギー購入を止めた。だが、案の定エネルギー不足に陥り、世界中からエネルギーを買い漁った。それで、天然ガス、石油、石炭のいずれの国際価格も暴騰した。

過去数年、脱炭素のためとして、欧州が圧力をかけて、世界的に化石燃料の採掘事業を停滞させていたことも、この価格暴騰に大いに拍車をかけた。この煽りで日本でも発電燃料である液化天然ガスや石炭の価格が高くなり、電気代が跳ね上がった。

以上のように、いまの電気代高騰は「反原発」「再エネ推進」「脱炭素」といった、いずれも「エコな」政策のせいだ。これを変えない限り、光熱費補助金を何兆円ばらまいても意味がない。また、いずれ同じことが起きるのは必定だ。

再エネ導入はやめるべきだ。石炭や天然ガスは、目の敵にせず、生産国にきちんと投資して長期契約を結び、安定して安価に入手すべきだ。

岸田文雄政権になって、原子力には前向きになったが、相変わらず再エネ最優先で脱炭素に邁進(まいしん)している。電気代はどこまで上がるのか。