本稿はロジャー・ピールキー・ジュニア https://rogerpielkejr.
近年、顕著な異常気象が発生すると、その原因を究明する「イベント・アトリビューション(帰属)」研究が盛んに行われるようになった。この種の分析では、気候変動と発生した事象との関連性を強く主張するのが一般的である。先月、私はこの類の主張について少しばかり触れ、次のように説明した:
「単一事象の帰属研究では、気候モデルを用いて、ある異常事象が人為的な気候変動の直接的かつ帰属する結果として、どの程度起こりやすくなったか、その確率を計算する。 このような研究では、一般に、大気中の温室効果ガス濃度が上昇していない場合の反実仮想シナリオと、濃度が上昇している場合の観測シナリオの2つを検討する。そして、2つの異なるシナリオの下で実行されたモデル計算結果を比較し、問題となる異常現象の発生確率が、温室効果ガスが増加した場合のモデル計算実行時に高くなったかどうかを確認する。」
ここでは、「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)の研究成果を踏まえ、科学的見地から、このような主張を受け入れるための3つのルールを提案する。
イベント・アトリビューションの主張は精査する必要がある。何故なら、その基礎となる方法論の開発は、明らかに、気候変動に関する訴訟を支援し、気候変動アドボカシーを推進し、メディアの注目を集めるという目的で行われたからだ。このような主張の政治的な側面については、詳しくはこちらを参照いただきたい。