メディア掲載  エネルギー・環境  2023.03.24

中国が圧倒的一位の科学技術ランキング

アゴラ202338日)に掲載

エネルギー・環境

オーストラリア戦略政策研究所(Australian Strategic Policy Institute, ASPI)の報告「重要技術競争をリードするのは誰か(Who is leading the critical technology race?)」が衝撃の調査結果を発表した。(英語報告全文

それによると、中国は、重要な最新技術分野の大半において圧倒的に進んでおり、世界最先端の科学技術大国となるための基盤を構築している。

下の表は、ASPIが追跡している44の重要技術の一覧だ。このうち37の技術で中国が最先端になっている。残り7つは米国で、日本はゼロだ。

重要技術には、防衛、宇宙、ロボット、エネルギー、環境、バイオテクノロジー、人工知能(AI)、先端材料、量子技術などが含まれている。

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このランキングは、公開されている論文データベースに基づいている。

単純に論文の本数を数えるのではなく、インパクトのある重要な研究に重みづけをしている。

「中国の研究は論文の数は多いが質が低い」と以前は言われてきたが、もうそのような認識は時代遅れということのようだ。

公開の論文しか評価対象になっていないので、日本のように、企業での研究が盛んであってあまり論文として公開されていない技術が多い国は不利になっている。ただしその一方で、米国や中国などでは軍事研究が盛んであるが、それも多くは論文で公開されてはいない。

また、論文が書けるからといって、実際にモノの製造に直結するとは限らない。旧ソ連は科学技術水準は高く、軍事技術も優れていて世界中に輸出していた。けれども社会主義システムが非効率なせいで、乗用車や家電製品などの民生技術はひどく水準が低かった。

中国も習近平政権の下で毛沢東的な共産主義の色合いが強くなっているから、ソ連と同じ失敗をすることになるかもしれない。他方で、これだけ科学技術人材が厚いとなると、政府が舵取りを間違えなければ、やがて製造技術においても中国が他を圧倒するようになるかもしれない。

それにしてもこの表には日本はゼロであるし、これ以外にも、さまざまなランキングがこのASPI報告にあるが、日本の存在感は殆ど無い。

日本は明らかに科学技術の振興に失敗してきたようだ。これは何とかしなければならない。

その中にあって、対中半導体輸出規制で話題になった半導体製造技術などに代表されるように、化学製品や計測機器などの精密な製造業にはまだ日本は強みを有していて、世界諸国に輸出もしている。こういった強みを失わないことが国の戦略としてはますます大切になるのではないか。