コラム  グローバルエコノミー  2023.02.20

新型コロナ感染の予想外の急拡大と急終息|中国経済情勢/ヒアリング

~欧米企業は今年を好機と見て対中積極投資姿勢、日本企業だけが慎重~

中国経済 中国

<主なポイント>

22年4Qの実質GDP成長率は、前年比+2.9%と、前期(同+3.9%)に比べ伸び率が低下し、6期連続の5%割れ。22年通年では3.0%。

4Qの実質GDP成長率の公表数値について、前期比が横ばいだったこと、前年比の伸び率に対する投資の寄与度が大きかったことに違和感を指摘する声が多い。

11月下旬に全国各地でコロナ感染が増加、白紙を掲げる抗議運動が発生。12月に入ると一気に規制緩和が進み、1月8日にゼロコロナ政策が解除された

感染(発熱外来患者数)ピークは、都市部では12月22日。農村部でもほぼ同じ23日だった。いずれの地域でも感染は急拡大後に急終息。医療水準の低い農村部で激増が懸念されていた死亡率は都市部並みまたはそれ以下だったと見られている。

春節の7連休開始時点(1月21日)では、ほぼすべての中国国民が感染した後に回復していた。このため、中国全体が3年ぶりに感染リスクの不安から解放されて春節を迎えた。各地のレストランは満席、観光地は大混雑、飛行機は満席だった。

4Qの輸出は、米国・欧州向けが減少し、数量ベースで-10%減少した。先行きは、先進国の利上げの影響で世界経済が減速に向かうため、低い伸びが続く見通し。

投資はゼロコロナ解除の影響で回復に向かう。ただし、経済のまだら模様の状況が続くと予想されるため、製造業設備投資は腰だめ的な投資姿勢が持続する。インフラ建設投資は、財政積極化の方針により本年は昨年以上に拡大。不動産開発投資は支援策の効果が年後半に現れるとしても、当面は前年割れの状況が続く見通し。

人口流出が続く3~4級都市等では、不動産市場の停滞長期化を食い止めることが難しいため、長期にわたり中小金融機関の経営破綻、深刻な財政難に直面する見通し。

消費はゼロコロナ政策解除により飲食、旅行、交通等サービス産業が急回復し、力強く経済を押し上げると期待されるため、本年は消費主導で経済回復に向かう見通し。

米国による先端半導体輸出規制の影響は深刻。しかし、中国は技術開発力強化を重点政策としたため、長期的には米国の技術優位が崩れるリスクが指摘されている。

欧米企業は、中国政府が外資企業誘致に注力する今年を対中投資拡大のチャンスと捉え、投資計画の具体化を進めている。一方、日本企業は本社経営層が中国に対して理解不足である上、経済安保・台湾有事のリスクを過度に懸念して対中投資に慎重。

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