ワーキングペーパー  エネルギー・環境  2023.01.05

【研究ノート】メガソーラーの所要面積試算 

エネルギー・環境

概要

100万キロワットの原子力発電所をメガソーラーで代替する場合のメガソーラーの所要面積を概算する。日照が無い時間に電力供給するために電気を貯めておくバッテリーの面積も概算する。おおむね、山手線の内側の面積の約2倍が必要になる。

1 100万キロワットの原子力発電所を代替するメガソーラーの所要面積

まず100万キロワットの原子力発電所の発電電力量を代替するのに必要なメガソーラーの面積を求める。

1年は8760時間、原子力発電所の設備利用率を90%とすると、1年間の原子力発電所の発電電力量は

100kW×8760h×90%=7884GWh

メガソーラー1MWの発電電力量は、政府資料により、設備利用率を17.2%として

1MW×8760h×17.2%=1.507GWh

すると、原子力100kWと同じ発電電力量のために必要なメガソーラーの設備容量は

7884/1.507=5230 MW

1つのメガソーラーの所要面積は2ヘクタールとすると、5230MWならば

5230×2=10470ha

山手線の内側の面積は 6400ha

であるから、原子力発電所をメガソーラーで代替することによる面積は山手線の内側の面積よりも大きいことが分かる。

なお下の写真は、筆者が今年訪れたメガソーラーである。見渡す限りパネルが広がる。案内版を見ると、2つの地区で、各々60MW 140ha55MW 113haとなっていて、おおむね1MWあたり2haと考えてよいことが分かる。

fig01_sugiyama.jpg

fig02_sugiyama.jpg

参考までに、ここでの試算結果は、前提条件が幾らか異なるので厳密には異なるものの、下記の政府資料と概ね整合している。

fig03_sugiyama.png

https://www.kyuden.co.jp/effort_renewable-energy_photovoltaic_faq.html

2 バッテリーの所要面積

さて発電電力量が等しいというだけでは、電力の安定供給は出来ない。本当に原子力発電所を代替するというのであれば、電気をバッテリーに貯めておいて、夜間や曇天・雨天時にはそれで電力を供給しなければならない。これに必要な面積を計算しよう。

5230 MWのメガソーラーの1日分の発電量は、

5230MW×24h×17.2%=21589MWh

これをバッテリーに蓄えることを考えよう。バッテリーの大きさと面積の関係については、一昨年筆者が訪れた九州電力送配電 豊前蓄電池変電所のデータを用いる。バッテリーの容量30kWh(=300MWh)に対して、面積は14000m2となっている。

下の写真は、豊前蓄電池変電所の概要である。

fig04_sugiyama.png

すると、5230 MWのメガソーラーの1日分の発電電力量を蓄えるためには、これだけのバッテリーが

21589MWh/300MWh=71.96

箇所だけ必要になる。

必要な面積は

14000×71.96 = 1007571m2=100.75ha

もしも4週間分貯めるとなると(これで曇天が続いた場合や電力需要の季節変動への備えとして十分なのかはやや心許ないが)

100.75ha×28=2821ha

となる。

3 メガソーラーとバッテリーの合計所要面積

メガソーラーの面積とバッテリーの面積を合わせると

10470+2821=13286ha

従って、100万キロワットの原子力発電所を代替するためのメガソーラーとバッテリーの所要面積は、山手線の内側の面積(6400ha)の約2(13286/6400=2.076)となる。

なお、以上の計算にはある程度の丸め誤差がある。また前提条件については更に詳しく検討すべき点はあるが、結論は大きく変わらないと思われる。

以上

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