コラム  グローバルエコノミー  2022.12.01

新型コロナ感染の予想外の拡大により経済の先行きは不透明|中国経済情勢/ヒアリング

~当面はゼロコロナ政策の副作用と不動産市場の停滞が2大リスク要因~
<オンライン方式等による北京・上海面談報告(2022年10月24日~11月5日)>

中国経済

<主なポイント>

22年3Qの実質GDP成長率は、前年比+3.9%と、前期(同+0.4%)に比べ伸び率が回復したが、5期連続で5%割れ。

7月面談時点では、下期は上海の都市封鎖のような事態を回避できるため、下期の成長率は5%に達すると期待されていた。しかし、実際には多くの主要都市で感染が拡大し、厳しい移動制限が行われたことから、消費を中心に下押し圧力が続いている。このため、下期の成長率は5%どころか、4%に達することすら難しい状況。

隔離措置の具体的な内容については、中国政府の明確な規定が示されておらず、「社区」と呼ばれる小さな自治組織の責任者の恣意的な判断に委ねられている。その仕組みに対する不信感など、ゼロコロナ政策への強い不満が中国全土で共有されている。

11月入り後、感染が急拡大し、11月下旬には中国全体の新規感染者数が過去最高を更新した。このため経済の先行き見通しが立たない状況にある。今後の感染拡大とゼロコロナ政策の行方は当面中国経済を見る上で最大の注目点となる。

8、9月以降、期待成長率の下方屈折、すなわち企業業績や家計収入の見通しを下方修正する見方が企業経営者、消費者等の間で広く共有されるようになった。

3Qの外需は、輸出数量の伸びは低かったが、内需の伸び悩みから輸入数量がマイナスとなったため、貿易黒字が拡大し、GDP成長率を押し上げた。

3Qの投資は、製造業設備投資とインフラ建設は堅調を持続。不動産開発は前年比マイナス幅が拡大し続け、下げ止まりの兆しが見られず、厳しい停滞が続いている。

消費は、8月以降、単月ベースの前年比伸び率の低下が続いている。これは、新型コロナ感染の再拡大とゼロコロナ政策の副作用、不動産市場の停滞が主な要因。

中国のEVメーカーは、10月までは米国企業から潤沢に半導体を調達できている。米国メーカーは中国企業からの打診があると、即座に商務省の関係部門に連絡して輸出許可を得られるため、殆ど支障なく、従来通りの取引を継続できている。

欧米では政府と企業は対等の関係にあるという認識が共有されているため、企業は政府の外交・安保政策の対中強硬姿勢と自社の中国ビジネスを峻別し、チャンスがあれば積極的に市場を開拓する姿勢。一方、日本企業は十分な情報収集を行わずに政府の意向を忖度し、投資の実行を再考するという事例が見受けられる。

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