メディア掲載 財政・社会保障制度 2022.10.20
―言及なしの首相の所信表明演説
武蔵野大学国際総合研究所MIGAコラムに2022年10月17日掲載
岸田内閣の支持率低下が止まらない。共同通信社による10月8,9日の世論調査では、9月の調査より5.2ポイント下がって35.0%。これは、昨年10月の内閣発足以来、最低の数字だ。一方、不支持率は1.8ポイント増加して半数近くの48.3%。また、10月13日の時事通信社発表では、内閣支持率は前月から4.9ポイント減って27.4%。政権維持の危険水域と言われる20%台にまで落ち込んでいる。
振り返れば、昨年9月の自民党総裁選では、聞く耳をもつ柔軟さが岸田首相に期待された。自身が、「岸田文雄の特技は人の話をしっかり聞くということであります」と挨拶したからだ。これは、もり・かけ・さくら問題や五輪開催の賛否等で世論が分断された安倍・菅両政権とは違った時代の到来を感じさせた。
しかし、その後半年も経たないうちに、当初の熱が冷めるように国民の期待も下がってきた。岸田政権は、本年2月のロシアによるウクライナ侵攻で始まった世界情勢に対して、これといった外交・内政での政治的実績を打ち出せないままに見えるからだ。それでも、去る7月の第26回参院選では、自民党は単独で改選定数124の過半数を確保し、岸田内閣への国民の信任は再確認されたかに思えた。