東京都は、新築物件の屋根に太陽光パネルの設置を義務付ける条例を検討している。
しかし、夕刊フジのアンケートでも多数の反対意見が寄せられた(=ツイッターの公式アカウントで今年6月に緊急アンケートしたところ、98.1%が反対だった)ように、今や太陽光発電には問題が山積している。都のパブリックコメント(意見公募)でも、賛成は56%で、反対が41%もあった。
特に筆者が重要と思うのはジェノサイド(民族大量虐殺)の問題だ。
現在、世界の太陽光パネルの8割は中国製、半分は新疆ウイグル自治区製と言われている。この7月に発表された国際エネルギー機関(IEA)の7月の報告では、中国製のシェアは今後さらに上がり、95%にも達する見込みだと言う。
他方で、ウイグルにおけるジェノサイドの証拠は、ますますはっきりしてきている。先進諸国は軒並みジェノサイドと認定して非難決議をしている(=情けないことに例外は日本だけだ)。
国連においても、人権高等弁務官事務所(OHCHR)が「深刻な人権侵害が行われている」「人道に対する罪に相当する可能性がある」などとした報告書が8月末に公表された。
米国では、このジェノサイドを問題視し、ウイグルで製造された部品を含む製品は何であれ輸入を禁止するウイグル強制労働防止法を6月21日に施行した。太陽光パネルはもちろん対象に含まれる。
中国の太陽光発電パネル製造企業が強制労働(=ジェノサイドの一部)に関与していることも、昨年5月のヘレナ・ケネディセンターの報告などではっきり指摘されていて、それら企業は米国のエンティティ・リスト(=禁輸対象の企業リスト)に入っている。
もはや太陽光パネルとジェノサイドの関係ははっきりしている。これを知りつつ、東京都が太陽光パネルを都民に義務付けるならば、それは事実上、「ジェノサイドへの加担」を義務づけることになる。
だが、これは都民の望むところではないと思う。
東京都はこれまでの事業者へのヒアリングにおいて、「新疆ウイグル自治区の製品を使っていない」旨の回答を得ているとのことである(=太陽光発電設置解体新書スライド43)。
だが、かかるヒアリングだけでは全く不十分である。結果として都民をジェノサイドに加担させた場合、都はどう責任をとるというのか。
東京都は、太陽光パネルについて、その設置を義務付けるよりも、むしろ、米国と同様に、「新疆ウイグル自治区で製造された部品を含む太陽光パネルの利用禁止」を事業者に義務付けるべきである。
東京都はこの秋に、太陽光パネル設置を義務付ける条例案を提示し、年度末に向けて成立を目指しているという。だが、このような条例は廃案にすべきだ。それには読者諸賢の世論が大きな力になる。