昨年制定された日本のエネルギー基本計画には再エネ最優先と書き込まれ、政府は更なる大量導入を目指している。だが今や太陽光発電には問題が山積している。
国土交通省の資料を見ると、150万円の太陽光発電パネルを住宅に設置すると、15年で元が取れるという。たしかに建築主は自家消費分の電気代を減らし、電力会社に売電をするなどで高額な収入を得られる。売電時には電力会社が高く買い上げる制度がある。
けれども、本当は太陽光発電の価値はもっと低い。よく1キロワットの電気1時間分の発電コストを比較して太陽光発電は安くなった、という意見を聞く。だが電気は欲しいときにスイッチを入れて使えるからこそ価値があるのだ。
太陽光発電を導入しても日が照っていないときのため、火力発電などの設備は必要だ。太陽光発電は必然的に二重投資になる。すると太陽光発電の価値は日が照っているときに火力発電所の燃料消費量を減らす分しかない。これを回避可能費用という。
経済産業省の発電コスト試算では石炭火力とLNG(液化天然ガス)火力の燃料費は平均してだいたい1キロワットを1時間で4円程度と見通されている。これが太陽光発電の本当の価値で15年の累積で50万円にしかならない。
つまり150万円の太陽光パネルを購入すると、建築主は15年で元が取れることになっているが、実は発電される電気の価値は僅か50万円しかない。残りの100万円は再生可能エネルギー賦課金や電気料金の形で一般国民の負担になる。ただし以上は条件の良い家の話だ。東京都で義務化条例が検討されているが、条件の悪い家まで強行すると建築主も損をする。
経済性は今後さらに悪化する。太陽光発電は既に大量に導入され頻繁に出力抑制が行われている。晴天になると一斉に発電するので余った電気を捨てているのだ。
さらに導入すれば捨てるケースが増える。原発が再稼働すれば、ますます捨てる電気は増える。捨てるのを回避するためとして蓄電池や送電線を建設すればますますコストがかさむ。のみならず、莫大(ばくだい)な補助を受けた太陽光発電が大量に導入されてきたことで、火力発電所は稼働率が低下して採算が合わなくなり、休廃止を余儀なくされてきた。このせいで電力不足が常態化するようになった。
太陽光発電は燃料は必要ないが、大量のセメント、鉄、ガラス等の材料を投入せねばならない。結果、廃棄物も大量になる。
メガソーラーは広い土地を使う。農地や森林がその代償で失われる。景観は悪化する。施工が悪ければ台風などで破損したり土砂災害を起こして危険だ。市民団体「全国再エネ問題連絡会」がこの問題に立ち向かっている。
住宅では、地震や台風のときに落下などの二次災害が心配される。火災時は、太陽光パネルに放水すると、感電の危険がある。東京都江戸川区などでは大規模な水害が想定されているが、この場合も感電の危険がある。救助や復旧が遅れると命に関わる。
世界における太陽光発電用の結晶シリコンの80%は中国製である。そのうち半分以上が新疆ウイグル自治区における生産で、世界に占める新疆ウイグル自治区の生産量のシェアは45%に達する。
米国は新疆ウイグル自治区で生産された製品・部品の輸入を禁止する法令を施行した。太陽光パネルも含まれる。日本も対応を迫られるのは必至である。いや受け身ではなく自らが判断しなければならないときだ。良かれと思って設置した太陽光発電が実はジェノサイドの産物だというのは、おぞましいことだ。テロの心配もある。
太陽光・風力を大量導入した結果、日本の多くの地域で瞬間的ではあるが電力供給の半分以上、九州に至っては7割を太陽・風力が占めることがある。いったいどれだけが中国系企業なのか。太陽光発電名目で数多くの土地も外資に売却されたもようだ。いずれもその実態すら把握できていない。
彼らが一斉に本国の命令により送配電網の攪乱(かくらん)を試みたらどうなるか。例えば出力を落とすとか、過剰に出力する。同時多発的に各地で停電を起こし、その復旧を妨害することで日本を混乱に陥れ、それに乗じて武力攻撃をしてくる可能性がある。外国製の太陽光発電設備であれば、サイバー攻撃のリスクも高まる。
パワコンは太陽光発電された電力を送電網に送る装置である。サイバー攻撃の対象になると、停電を引き起こしたり、他の発電所を損傷させたりする可能性がある。米国の調査では太陽光発電用パワコンのほとんどは外国製だった。中国のシェアは47%に達する。世界最大の太陽光発電用パワコンメーカーであるファーウェイも含まれている。日本はどうなのか。
経済、人権、環境、防災、国防、いずれの面からも太陽光発電は問題山積だ。大量導入は直ちにやめ、ゼロベースで総点検をすべきだ。