ロシアへのエネルギー依存を脱却すべく、欧州が世界中からエネルギーを買い漁っている。この影響で世界のエネルギー価格は暴騰した。これに耐えかねて、開発途上国では石炭の増産と石炭火力発電の利用計画が次々と発表されている。
ニュースは次々と飛び込んでくるが、以下にいくつかまとめておこう。
世界的に石炭価格が高騰し、供給が逼迫しているため、輸入燃料を使用している発電所は逆ザヤによる損失を抑えるために稼働率を下げており、状況が悪化している。
アジアのベンチマークであるニューキャッスル石炭先物価格は、今年に入ってから145%以上も上昇している。
インド電力省によると、輸入石炭を使用するように設計されたインドの1760万キロワットの発電能力のうち、現在稼働しているのはわずか1000万キロワットだという。ほとんどの発電所は、燃料費の上昇を転嫁できないような契約を買い手と交わしているという。
そこでインド政府は、輸入石炭による発電所にフル稼働を命じる代わりに、石炭価格の高騰による発電所への費用負担を軽減するための措置をとるとされている。
インドは、再開された鉱山から今後2~3年で7500万トンから1億トンの石炭の追加生産を見込んでいる。
東南アジアの製造業大国である同国は、今年初め、石炭供給の逼迫による夏場の電力不足を警戒していた。
このように、エネルギー価格の高騰の最中にあって、開発途上国はみなエネルギー安定供給に必死になっている。石炭を増産し、あるいは石炭火力発電を増強するのは当然だ。
ところがいま、先進国の政府や金融機関は、脱炭素のためとして、化石燃料事業には投融資をしなくなっている。
その一方で、先進国自身、就中、欧州が化石燃料の調達に奔走しているのは、完全に偽善だとの批判がある。まったくその通りだ。
米国上院のエネルギー資源委員会のジョー・マンチン委員長(民主党)や有力メンバーであるジョン・バラッソ議員(共和党)は、現在の世界のエネルギー危機を救いロシアに対抗するために、米国はエネルギーを増産するべきだと述べている。
日本も、世界中の開発途上国の経済開発に資するため、石炭資源開発を支援すべきだ。それは日本への安定供給にもつながるだろう。
そして、日本の持つ最高水準の石炭火力発電技術によって、大気汚染などが極めて少ない形での電力供給を世界で実現してゆくべきだ。