前回に続いて、環境影響(impact)を取り扱っている第2部会報告を読む。
今回は朗報。衛星観測などによると、アフリカの森林、草地、低木地の面積は10年あたり2.4%で増えている。
この理由には、森林火災の減少、放牧の減少などもあるが、CO2濃度が上昇したこと、気温が上がり降水量が増加したことなども挙げられている。CO2は植物にとっては肥料なのだ。
2014年の前回の報告ではアフリカが砂漠化していることをハイライトしていたが、これが全く逆転したわけだ。
さてアフリカが緑になることは人類にとってよいことだと普通は思うけれど、IPCC報告はこれをなぜか朗報として扱っていない。「生態系への様々な影響がある」と書いてあって、「乾燥地に住む動物が減るかもしれない」「山火事が増えるかもしれない」・・・などとしている。
さて、3000ページを超える報告の中で、環境影響に関するナマの観測の統計の図表を探し回ってきたが、なんと今回で尽きてしまった。
単なる気温、水温、降水量といった気象に関する統計はたくさん載っていた。
だが、肝心の生態系や人間への影響についての観測の統計が、まったく不十分にしか、図表として整理されていない。
これでは全く物足りない。まずは過去と現状を知ることが、複雑な環境影響を理解するためいにもっとも重要と思うのだが。
1つの報告書が出たということは、議論の終わりではなく、始まりに過ぎない。次回以降も、あれこれ論点を取り上げてゆこう。