ウクライナの戦争を招いたのは、ロシアのガスへの依存を招いたEUの自滅的な脱炭素・反原発政策だったことを糾弾し、欧州は、域内に莫大な埋蔵量があるガスの採掘拡大を急ぐべきだ、とする大合唱が起きている。
ドイツ政府も、これまでの極端なグリーン政策を見直すことになった。脱石炭・脱原発を再考してしばらく利用すること、これまで無かったLNG基地を建設することを検討しているという。
ちなみに「2045年CO2ゼロという目標は変えずに」これをするというが、本気で整合性を考えているとは思えない。
政策声明を見ると、この政策転換は「責任ある、将来を見据えたエネルギー政策が、我々の経済や気候だけでなく、安全保障にとっても極めて重要である」ことが理由だそうだ。
ということは、これまでの政策は、無責任で将来を見据えていなかった大失敗だった、と考えるほか無い。
これまで、環境問題を理由として欧州では事実上禁止されていたシェールガス採掘も開始すべきだという意見も強い。欧州には十分な埋蔵量があり、米国なみに開発すれば、本来はロシアから輸入などせず、ガスは自給できるはずなのだ。
米国では、与党の民主党に属しながら造反してバイデン政権のグリーンインフラ整備「ビルド・バック・ベター」法案を葬り去ったジョー・マンチン議員が、「ロシアからのあらゆる輸入を止め、国内の石油・ガスを大増産して自由世界に提供すべきだ」としている。
もとより共和党はバイデンを批判して石油・ガス増産を訴えているから、民主党の造反者と共に、米国議会からは、石油・ガス増産を可能にする法律が出てくると予想される。いまだに脱炭素にこだわっているバイデン政権も従わざるを得ないのではないか。
欧米は、いまこそ結束して原子力・ガス・石油を大増産しなければならない、という訴えがある。日本もこれに伍して、原子力再稼働、石炭火力フル稼働を図り、LNGを節約することで、欧州を助けるべきではないか。