論文 財政・社会保障制度 2022.02.04
The Keio Journal of Medicineに掲載(2022年2月2日)
鎌江研究主幹は、診断検査による新型コロナ感染制御の可能性と限界を理論的に明らかにした論文を、KJM (The Keio Journal of Medicine)の オンライン上に発表しました。
オミクロン株による第6波の渦中にある日本でも、検査戦略を考えるうえでの基本知識となります。(本人談)
本研究では、コロナウイルス感染症2019(COVID-19)を題材に、診断検査に特有の複雑な推論とプロセスを分析し、効果的に感染拡大を阻止するための数理的理論を構築しました。その結果、水平感染モデルに基づき、診断検査がウイルスの拡散を阻止するための感度の下限を与える「伝染病封じ込めの境界条件」の数式が新たに開発されました。
このモデルでは、感染伝播のレベルと有効再生産数の2つのパラメータが考慮されています。
計算例では、SARS-CoV-2のデルタ型のような感染力の強い感染症では、85%の感度で1回限りのポリメラーゼ連鎖反応による検査(PCR)では不十分であり、封じ込めには100%に近い感度が必要と思われることが示されました。
さらに、トリプレットテスト方式の一形態として、複数の検査を行うカスケード判定方式を提案し検討しました。
この手法により、COVID-19の検査精度をウイルス拡散阻止のために必要な最低レベルまで高めることができます。
本研究で構築された理論は、学術的な意義をもつだけでなく、パンデミック対策のための公共政策において、エビデンスに基づく意思決定を行う際にも有用であると考えられます。
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