メディア掲載 エネルギー・環境 2021.12.02
Daily WiLL Online HPに掲載(2021年11月27日)
メディアのアイドルである環境運動家のグレタ・トゥンベリ。今年ももてはやされたが、なぜかCOP26の国際会議場には呼ばれなかった(開催地:グラスゴーでのデモに参加)。一体なぜだろうか?彼女のスピーチをよく聞くと、その理由が分かってくる。
目次
今回のCOPでもスウェーデンの環境運動家のグレタ・トゥンベリがメディアでずいぶんと報道された。例えば産経新聞の記事では以下の通り。
via THE SANKEI NEWSよりキャプチャー
メディアの記事の論調は殆どどれも判で押したように「環境危機を訴えた」「大人は口先だけで行動が伴っていない」「グリーンウオッシュのPR合戦に過ぎない(注:グリーンウオッシュとは、グリーンとホワイトウオッシュを組み合わせた造語である。ホワイトウオッシュとは白い色を塗ることで、転じてうわべだけを飾ることを言う)」「COP26は失敗だと批判」・・・という調子。
しかし、今回のスピーチ、よくよく聞いていると、環境運動というより、共産主義運動なのだ。しかし、見出しでそれを分かり易く書いてあったのは、ざっとみると以下のニューズウィークの記事だけだった。
via ニューズウィーク日本版ウェブサイトよりキャプチャ―
この記事を読むと、「根本的な社会変革が必要」「植民地主義」「搾取」「グローバル・ノース(注:南北問題から派生した言葉で、世界の富める者のこと)」など、共産主義の用語が満載だ。
このことは、オリジナルのスピーチでも確認できる。下記の動画サイトで全スピーチを字幕付きで聞くことができる。
Greta Thunberg full speech from Glasgow COP26 or "Global North Greenwash Festival"
グレタ氏のスピーチ全文動画
via www.youtube.com
さてこうすると、なぜ昨年まではCOP会場に呼ばれて演説していたグレタが今年はCOPに呼ばれなかったのか、よく分かる。
環境運動家から共産主義者に転向してしまったので、気候変動をネタに金を儲けようとしているCOPに集う人々に都合が悪くなったのだ。
グレタはどのようにしてこのような考えに至ったか。これは簡単で、環境運動家にはもともと共産主義者が多いのだ。今回のグレタとほとんど同じような声明はネット上でも見つけることが出来る。
これを読むと、昔懐かしい共産主義革命のアジビラと見まごうばかりだ。ちなみにこの声明はCOP26連盟というNGOの連合体によるものだが、350.orgなどの著名なNGOが多数署名している。
環境運動はもともと反核、反原発、反公害、反資本主義、といったところにルーツがあり、共産主義と密接な関係にあった。
だから、ダボス会議の常連である資本主義者がCOPに集うようになると、それに反発を強めてきたという訳だ。グレタはその集団に担がれた偶像に過ぎない。
なおアメリカのリベラル映画監督マイケル・ムーアは、さらに一歩先んじていて、太陽光、風力、バイオマスなどの再エネも環境破壊だと映画「プラネット・オブ・ヒューマン」で批判していたが、グレタはじめCOP批判者が今後そこまで踏み込むのかは予断できない。
けれども、ムーアもグレタも、「技術では解決できないし、経済成長が問題の根源だ」といった主張は一致している。
さて今後グレタはどうなるのか。原理的な共産主義に転向したことで、気候変動で儲けようとするメディアにも都合が悪くなったから、出演は大幅に減るだろう。あるいは、メディアが取り上げるとしても、「環境運動を訴えました」という、スポンサーに具合に悪くない部分だけの切り取りに終わりそうだ。
ちなみに上記のフル・スピーチのビデオ、なぜか再生回数が970回(11/25日現在)しかない。筆者の探し方が悪いのかもしれないが、それにしても、みんな、別に話の内容は聞く気が無くて、偶像として都合よく使えればそれで良いということなのだろうか。