あまり報道されていないが、CO2をゼロにするとか石炭火力を止めるとか交渉していたCOP26の期間中に中国は石炭を大増産して、石炭産出量が過去最大に達していた。中国政府が誇らしげに書いている(原文は中国語、邦訳は筆者)。
国家発展改革委員会は11月11日、石炭の生産と供給を増やすための措置が引き続き実施されるにつれて、高品質の石炭生産能力がさらに解き放たれると報告した。石炭生産は急速に回復し、増加した。11月10日には、1日あたりの石炭生産量が過去最高の1,205万トンに達し、前回のピークから12万トン増加した。その中でも、山西省、陝西省、新疆ウイグル自治区などの石炭生産量は、すべて過去最高を記録した。これは国のエネルギー供給を確保し価格を安定させる活動の強固な基盤となる。
中国は昨年末以来、石炭不足と電力不足に悩んでおり、政府は必死になって石炭増産を奨励している(参考 九州大学堀井准教授と筆者の対談動画 および対談記事)。その成果が出てきたということだ。
じつはこの中国の石炭大増産のお陰で、世界全体で進行しているエネルギー危機も緩和される訳で、光熱費の上昇とインフレ懸念で悩みを深めている世界各国政府にとってもこれは朗報なのだ。
バラマキ財政でインフレ懸念を招き「バイデンフレーション」と揶揄されているバイデン大統領も例外ではない。
ボリス・ジョンソン英首相はCOP26で採択された「グラスゴー気候合意」は石炭の終焉をもたらす、などと発言したが、これが世界の現実だ。
その英国でもガス・電気の価格が高騰し大問題になっているが、中国の石炭増産のお陰でこれも少しは緩和しそうだ。