台風や豪雨で洪水などの被害が出るたびに、「地球温暖化のせいだ」「気候は危機にある」「脱炭素が必要だ」「太陽光発電の大量導入を」とのたまう「専門家」、メディア、そして政治家がいる。
だが、これは完全にフェイクニュースだ。
そもそも、台風の数は増えていないし、強くもなっていない。だから、地球温暖化のせいにするのはまったく無理な話だ。
豪雨の雨量も増えていない。理論的にはわずかに増えた可能性はあるが、今のところ観測されていない。
地球温暖化は起きたと言っても、江戸時代に比べて約1度とごくわずかにすぎない。感じることもできないぐらいだ。しかも、自然災害は何も増えていないし、われわれは何も困っていない。
日本は太陽光発電を大量導入したが、どのぐらい地球の気温は下がったか。理論値では、これまでの累積で気温は0.0001度下がったに過ぎない。500ミリの豪雨があったとして、減少した降水量はわずか3ミクロンだ。2050年までに日本のCO2(二酸化炭素)をゼロにしても、気温の低下は0.01度。500ミリの豪雨の減少量は0.2ミリに過ぎない。 なぜこれしか下がらないかというと、地球温暖化はわずかだし、日本は世界の3%しか排出していないからだ。理論値では2兆トンのCO2排出をすると、1度気温が上昇し、7%の降水量増加があり得る。
だが、日本の排出は毎年10億トンに過ぎない。兆と億だから、全然ケタが違うのだ。だから、日本がCO2を半分にゼロにしようが、太陽光発電を慌てて導入しようが、大勢には何の関係もない。
それどころか、工事が悪いと、太陽光発電は土砂災害を引き起こす。あるいは廃棄物、景観破壊、生態系破壊の問題もある。
自民党総裁選の候補者の1人は、「太陽光発電の急激な大量導入」を唱えている。だが、それは日本の国土を破壊するだけで、暮らしを守ることにはならない。
防災のためなら、きちんとダムなどを造る方がはるかに重要だ。きちんと投資をしたおかげで、災害を免れた例が相次いでいる。
2019年の東日本台風は、「カスリーン台風の再来」と評価されるほどの多くの雨を降らせた。だが、八ッ場ダム(群馬県長野原町)などを整備したおかげで、東京は大きな災害を出さなくて済んだ。
米国でも、この8月にハリケーン・アイーダが襲来したが、ルイジアナ州は水没を免れた。これはハリケーン・カトリーナの大被害を教訓として、きちんと土木工事をしたおかげだった。
その一方で、川辺川ダムを整備しなかった熊本県・球磨川は、昨年氾濫して大きな被害を出した。
実は、1950年代ごろに比べると、ここのところ日本には強い台風は来なくなった。だが、だからこそ、油断大敵である。
公共事業が悪者扱いされ続けた結果、日本の治水事業費の水準は低いままで、かつての半分であり年間1兆円に満たない。他方で、太陽光発電に毎年2.5兆円をかけている。まったくバカげた金の使い方だ。