論文  財政・社会保障制度  2021.10.01

自治体のデジタル化―展望と課題

月刊『地方財務』(株式会社ぎょうせい)2021年9月号掲載

税・社会保障

はじめに

自治体は、来年度の予算に向けてサマーレビューの時期である。財政部門も原課も予算編成作業に忙しくなっていく。昨年から始まったコロナ禍は、いまだ落ち着く気配はなく、ワクチン接種などのコロナ対応に加えて、行政のデジタル化も急がれている。

20219月にデジタル庁が発足される。デジタル庁では、デジタル社会の実現と行政の縦割りを打破し、情報システムの標準化・共通化やクラウド活用の促進等が掲げられており、住民の利便性向上や自治体職員の働き方改革、生産性向上などが期待される。

読者の中には、デジタル化は苦手と思っている方や、ITシステムを導入したり改修したりすると、今までやってきた業務のやり方が変わるので何故やらないといけないのかと思っている方、そもそも何故デジタル化が必要なのかデジタル化の意義がピンと来ないと思っている方、自分たちは困っていないので自分には関係ないと思っている方も多いのではないかと思われる。このように、デジタル化の流れは自明だけれども、自分のことになると、ひとごとになるという総論賛成・各論反対の読者に向けて、本稿では、昨今の行政のデジタル化について、押さえておくこと・考えておくべきことを述べる。第1章では、デジタル化の流れについて、きちんと把握しておくことが重要なので、昨今のデジタル化の現状や今につながる国や自治体の変遷を概観する。第2章では、従来の予算編成の実態をふまえた上で、今後のデジタル化の予算編成のポイントを述べる。第3章では、デジタル化の展望と課題について述べる・・・

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自治体のデジタル化―展望と課題