メディア掲載  エネルギー・環境  2021.09.30

【続・「脱炭素」は嘘だらけ①】脱炭素政策で「国民に経済負担を課さない」自民党総裁選の公約に掲げよ 「最悪」だった菅政権のエネルギー政策

夕刊フジ(2021年9月22日)に掲載

エネルギー・環境

菅義偉政権は、ことエネルギー政策に関しては「最悪の政権」だった。何を勘違いしたのか、所信表明演説で「2050年、CO2(二酸化炭素)ゼロ」、つまり「脱炭素」を目玉にした。

また、93日の退陣表明の直前に何をしていたかといえば、CO2削減の計画の審議だった。「脱炭素」と言えば人気が出るとでも思ったのだろうか。だがもちろん、支持率にはまったくつながらなかった。

菅政権はまた、「30年までにCO213年比で46%削減」すると宣言した。これは従来26%だったところを、一気に20%も深堀りしたものだ。いま停止中の原発をすべて再稼働させても26%がやっとのところ、まったくの暴挙である。

この数字は、そのままエネルギー基本計画の案に書き込まれ、総選挙後に閣議で審議されて決定される段取りになっている。

この案には、再生可能エネルギー推進(と反原発)に熱心な、河野太郎行革担当相と、小泉進次郎環境相の意向が反映されていて、太陽光発電のさらなる大量導入がうたわれている。

だが、金は一体いくらかかるのか。

以前書いたが、太陽光発電の実績を見ると、20%の深堀には消費税率倍増に匹敵する年間20兆円の国民負担が発生する。世帯あたりなら48万円だ。どうして、そんなにかかるかって?

まず、「太陽光発電は安くなった」などというが、それは中国・新疆ウイグル自治区の製品を使っているからで「ジェノサイド(民族大量虐殺)」との関係が濃厚だ。米国なみに禁止すれば太陽光発電パネルの価格は倍になる。

いま流行りの洋上風力発電も、太陽光発電並みに費用がかかる。

電気自動車も大量導入しようとしているがこれは1台あたり100万円以上余計にかかる。

補助金の大盤振る舞いが予想されるが、その原資は税金や電気料金だ。金持ちは補助金をもらって喜ぶかもしれないが、庶民は貧しくなるだけだ。

ああそれなのに、現行のエネルギー基本計画の案は、経済負担についてはひた隠しにしている。「環境と経済の好循環」を生み、「グリーン成長」で目標を達成するなどと、役所文学できれいごとを言うのみである。

現実には、「環境と経済の対立関係」は厳然と存在する。莫大(ばくだい)な経済負担が発生しそうな時、どう意思決定するのか。これを示さないのは国民を欺く行為である。

そこで提案。今般の自民党総裁選にあたって、立候補者には「脱炭素政策によって新たな経済負担を国民に課さない」と公約させるべきだ。

米国では、ジョー・バイデン政権が「中所得者に新たな課税をしない」という公約を掲げたことが効いていて、炭素関税の導入に歯止めがかかっている。

選挙に、諸君の民意を反映させよう。それを受けた新政権は、エネルギー基本計画を国民の経済を守るよう、根本から見直すことだ。